スマホ巻き肩症(上腕二頭筋長頭腱鞘炎)

スマホ巻き肩症(上腕二頭筋長頭腱鞘炎)

スマホ使用中に肘を伸ばしてやる事は不可能だと思います。という事はほぼ肘を曲げて行ってます。スマホ巻き肩では、この肘を曲げたときの上腕骨の位置が問題になります。では、皆さんが実際にスマホを操作・閲覧している時に肩の位置はどこにあるでしょうか?下記写真のように少し前に出てると思います。
この肩関節・上腕骨の位置異常が、様々な障害の原因になるのです。肩の障害で多いのは、一般的には、腕が上がらなくなる四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)をよく耳にするかと思います。ただ、近年、来院される患者さんで多く見受けられるのは、スマホ巻き肩による『上腕二頭筋筋腱鞘炎』です。そこで今回は、このスマホ巻き肩症について深掘りいたします。

症状の特徴:
この障害の特徴は、若年層(20〜30代)でも発症する可能性があり、症状では、急に挙上できなくなる。何か持とうとする時や腕を伸ばした時に肩に痛みを感じるなどです。症状が悪化すると患部を触ると圧痛があり腫れてくる場合もあります。

検査法:
整形外科的テスト『スピードテスト』があります。座位で写真のように前方から手の掌を上にして挙上した手に抵抗を加えてください。片手で被検者の上腕二頭筋長頭を触診しながら行う。痛みで腕を降す、もしくは腕を抱えるなどの反応がでる可能性もあるので、軽い抵抗から初めて、無理してやらないようにしてください。

一般的な解剖学的視点:
1.挙上制限があるため五十肩との鑑別で間違えやすい疾患であること。
2.上腕二頭筋長頭は上腕骨(腕の骨)の結節間溝と横上腕靭帯からなるトンネル(腱鞘)内での摩擦ストレス(圧迫)による痛みや炎症がである。(腱の肥厚・炎症)
3.主な症状は、肩関節の可動域は極端に現象し、痛みも強く挙上できなくなります。
4.野球、テニス、バレー、水泳などオーバーハンドスポーツをされるアスリートに多くみられます。また、一般でも腕を曲げて使うなど二頭筋を過剰に使う方に発症しやすい。

KIZUカイロプラクティック的な施術視点:
この障害は、『上腕二頭筋長頭腱が通るトンネル内での炎症』であることは間違いないのですが、単にオーバーユースやオーバーハンドで腕を使うからとか、二頭筋を使うことが多いからではないと思っています。
そこには、隠れている発症メカニズムがあると思っています。あくまで自論ですが、上腕骨頭が前方に位置することで、上腕骨(腕の骨)の結節間溝と横上腕靭帯からなるトンネル(腱鞘)内でより強い摩擦ストレスが加わるのです。この場合、上腕骨頭の矯正が効果あります。痛くて上がらない腕が、瞬時に挙上できるケースがあります。(但し、この上腕二頭筋長頭腱や周りの滑液包が炎症している場合もあるので冷却の必要性も付け加えておきます。)

また、重要なのは、肩甲骨の位置です。最近多いのが肩が前に巻き込む、「巻き肩」の方が多く、この状態ですと、上腕骨頭の前方・上方へのズレが生じやすくなり、上記のような『上腕二頭筋長頭腱炎』が起きやすくなるのです。また肥厚した二頭筋腱に対しては、アクティブ筋膜リリース(動かしながら筋膜の可動性を付けていきます。)やグラストンテクニックを使用します。

考察:

スマホ・パソコン操作が長時間で腕が上がらなくなり、多くの方が『四十肩かな』と思ってします症状です!このスマホ巻き肩による『上腕二頭筋腱鞘炎』ですが、そもそもの原因は、スマホを持ち方によるものが多いと考えられます。スマホの持ち方を以下のように胸を開いて、背筋を起こし、反対の手の甲を肘の置き台にして肘を直角近くに曲げてリラックしてススマホを操作できるとこの障害の予防に繋がると考えます。

KIZUカイロプラクティック 院長 木津直昭