人間は股関節から老ける!

人間は股関節から老ける!

股関節から老けるのは本当なのか?
元タカラジェンヌの患者が、宝塚では『股関節から老けるから、股関節ケアを大切にしてきた』と話してくれました。そしてその患者さんから素朴な質問を受けたのです。その質問とは『人間って、股関節から老けるって本当ですか?』

私は、質問に答えるのに、頭の中で股関節が老ける理由について考え、5秒後に『はい、股関節から老けますね!』とお答え致しました。

その根拠は?

股関節へは多大な負荷が日常でかかっています。以下が日常においての実際の股関節への負担を数値化させたものです。

◾️体重60キロの方の股関節への負担
両足立ち 30kg
片足重心 45kg
歩行時  180〜240kg
階段昇降 360〜420kg

では安静にすればいいのか?
安静にすれば、重力の負荷がなくなり、退化し骨折の可能性が増えるのである。ということは、重力下で生活している我々人類は負荷は掛ける必要が絶対条件であり、その掛け方により『股関節が老けるか?老けずに若い状態を保持できるかが決まってくるわけである。』そこで今回は、股関節で起こる代表的な障害についてまとめ、当院の考える股関節を老けないようにする方法について考察してみます。

◾️股関節は、寛骨臼かんこつきゅう、大腿骨頭、関節唇かんせつしん、滑膜、関節軟骨といった部分からできています。股関節の病気には、大腿骨頭、関節唇、滑膜、関節軟骨のそれぞれが主な原因となるものがあります。最も頻度が多い病気は、関節軟骨が傷む変形性股関節症ですが、それ以外にも多くの病気があります。特に近年来院患者に多いのが関節唇の障害です。

*股関節のCE角(Center-Edge Angle)とは、大腿骨頭の中心を通る垂線と寛骨臼の縁を結ぶ線との間の角度で、股関節の臼蓋形成不全の診断に用いられます。
CE角の正常値は25~30度で、20度以下だと臼蓋形成不全と診断されます。CE角の数値が小さいほど臼蓋形成不全の傾向があり、治療せず放置すると変形性股関節症へと移行する可能性があります。
*臼蓋形成不全は、生まれつき大腿骨頭が臼蓋からはずれている疾患や股関節の形成異常などが原因で起こります。寛骨臼の土手の部分の形成が生まれつき悪いと臼蓋形成不全となり、年齢とともに変形性股関節症になることがあります。

以下、来院患者に多く見られる股関節疾患2つについて解説いたします。

①変形性股関節症
 股関節にかかる負荷によってクッションである関節軟骨が傷んでしまう病気です。単純レントゲン診断によるわが国の股関節症の頻度は、男性で0〜2%、女性で2〜7.5%と女性で多くなっています。原因がはっきりしない一次性のものと、わが国に多い発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)や寛骨臼形成不全(臼蓋形成不全)による二次性のものがあります。日本人は世界の先進国のなかでも発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)が多いと言われています。
 主な症状は、股関節の痛みと動きの制限です。初期は、歩き始めや立ち上がりの際にのみ痛みを感じますが、進行すると痛みが強くなり、寝返りや安静時にも痛みを感じることがあります。歩行時の痛みが強くなると、足をひきずった歩行になります。また、股関節を曲げて胸に近付けられなくなり、足を上げたり、靴下を履くことが難しくなってきます。胸に近づけた時に股関節の付け根に痛みが出ることが多いです。

②関節唇損傷
骨盤側の寛骨臼には、股関節唇という強い線維軟骨が円周状に付いています。股関節唇はゴムパッキンのようにソケットの周りに構成されており、大腿骨の周りに張り付いて、硬いシーリングと作って股関節を安定させることに寄与しています。また股関節唇は寛骨臼を深くして、股関節の表面と強度を増す効果があります。寛骨臼の縁で骨頭を包み込む関節唇が日常的に繰り返し異常な力を受けたり、大きく股関節を捻ったりして、傷んでしまうことがあります。寛骨臼の凹みが浅い臼蓋形成不全など、股関節の形の異常が原因となることが多いと言われています。
 主な症状は、鼡径部から股関節の外側にかけてやお尻に鋭い痛み、時々鈍い痛みを、椅子からの立ち上がりや階段の昇降動作など、股関節の動きの中で感じるかもしれません。場合によっては、クリック音がしたり、足の付け根に引っかかり感を感じるかもしれません。

🔶股関節障害を改善・予防するために当院の施術方法と考え方について

 患者さんで臼蓋形成不全の方も少なくありません。レントゲンで臼蓋不全の診断が降った患者さんで重要なのは、簡単にできる検査法は開脚です。あぐらをした時に股関節が90度以上開き、膝が床に付いている方は、そんなに悲観的にならずに大丈夫ですとお伝えしています。この開脚度合いが臼蓋不全の進行具合を示していると考えております。また、変形性股関節症や関節唇障害の方もこの開脚検査である程度、進行具合が把握できると考えております。なぜなら股関節の形状を考えると開脚が無理なくできるというのは、臼蓋下において大腿骨頭が回旋運動ができている証拠であるからです。(但し、股関節障害のある方へ開脚を推奨しているわけではありません。無理な開脚は股関節関節唇などを痛める原因になりますので要注意です。)

この大腿骨の回旋運動を行うには、土台である骨盤の安定性が欠かせません、そして我々は重力下で生活しているので、関節に載せない抗重力な身体の使い方が重要になります。それには、骨盤と股関節の連動・アライメントが重要です。具体的には、足先からの上行性連鎖、そして骨盤と股関節の連動からの下行性連鎖に着目すべきです。
そして、抗重力な歩き方の習慣化が重要です。歩き方一つで症状が変化することも珍しくありません。また長年、股関節に痛みが合って、なかなか改善しにくい症例には、歩き方修正を行う必要性があると感じています。

但し、変形性股関節症の方で、数年前よりあぐらで90度以上開きにくく、膝も床に付かない状態が続いている方で、歩行が困難な場合(QOLの低下)には、当院では連携病院(聖路加国際病院聖カタリナ病院)に於いて精査をして頂き、整形外科医師の診断に基づいた人工股関節手術も視野に入れた施術を行なっております。

 

今後、股関節をリスタートする勉強会を開催しようと考えております。
ご興味ある方は、以下『姿勢の匠』インスタグラム フォローよろしくお願いいたします。
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KIZUカイロプラクティック 代表院長 木津直昭

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