厚底スニーカーの弊害と検証

厚底スニーカーの弊害と検証

最近のスニーカーは、底がブ厚いと思いませんか?
街を歩く人、皇居を走っているランナーの足元に着目すると、多くのシューズが『底が広くて厚くてと、なんと足に優しいのか、、、』

しかしこの優しさが足の機能を低下させることに、多くの方が気付いていないのでは
ないでしょうか?足の裏はバランスを感知するセンサーで一杯です。
そのセンサーは固有受容覚という深部感覚を司っています。しかし、厚い底、広い底では、このセンサーは働きがいがないので、機能は退化していきます。そして、歩く為の筋力も低下させます。

厚底シューズを履いたランナーは、膝の怪我を起こしやすいというデータもあります。少し考えれば当たり前と思えることなのですが、この厚い底=足が楽という麻薬に冒されているのです。

そこで、この厚底スニーカーに検証もしてみました。
①半年間Nの厚底スニーカーで週に3日5キロ早歩き(リュック7キロ背負い)をしてみました。
②その後、その半分ぐらいの厚さの底のNスニーカーに変更してみる。

検証結果:
厚底広底スニーカーでの歩行は身体が軽く楽です。弾むような感覚です。自分が提唱している重力を味方に付ける抗重力ウォーキングに似た感覚です。これがやめられなく理由だなと思いながら、半年間履き続けてみました。
 3ヶ月過ぎぐらいから何故か右膝に違和感を感じ始めます。膝の違和感など今までに感じたことはありません。自分なりに分析すると軽度な大腿膝蓋骨関節症(大腿骨と膝蓋骨骨の関節で起きる)だと思います。
 そして、半年後にこの厚底広底の半分ぐらいの薄さのNスニーカーに履き替えます。すると、この薄いスニーカーから感じる地面の感覚が今までとは変化していることに気が付きます。
”地面が近く感じるのです!” 子供の頃履いた薄いゴム草履に近い感覚です。

この時に、『半年間で自分の足裏の固有受容覚の機能低下・足底筋低下が起きていたんだ!』と確信しました。その後、この薄いスニーカーで週に3日5キロ継続していたら、1ヶ月後には、このゴム草履感覚はなくなり、元の足裏の感覚に戻りました。3ヶ月後、当然ながら膝の違和感は全く感じなくなりました。

考察:
冒頭に申し上げた『この優しさが足の機能を低下させることに、多くの方が気付いていないのではないでしょうか?』自分自身もこの厚底スニーカーを履いてみて身体や足の楽さを感じていました。ただ、まさか、この15年以上歩き続けている自分自身にそんな変化が起きるとは思ってもいませんでした。
 バリアフリーという言葉があります。障壁の除去という意味ですが、駅のエレベーター、電動自転車など必要な状態(障害)、体調、高齢などで障壁になっている場合以外、できるだけ自分の足を使うべきですが、一度楽をすると人間なかなか元に戻れません。正しく、この厚底広底スニーカーは、シューズのバリアフリー状態なのだと思います。 そして、一番危惧するのが、この厚底の流れは子供達のシューズにも波及しているということです。成長期の子供達にとって、普段使いのシューズが、厚底になった場合の足裏の固有受容覚機能低下、関節や筋群の発達低下、背骨や骨盤のアライメント異常に繋がる可能性について更に研究し、警鐘を鳴らすべきと感じています。

子供の姿勢と歩き方研究については、子供内股歩行研究センター公式サイトをご覧ください。

代表院長 木津直昭