手術適応とされた頚椎椎間板による腕の痺れの改善例
10年以上前(2011年)から続く、右腕と右足の痺れ感、5年前から症状は悪化傾向にあり、睡眠時も痺れて寝れないので眠剤を使用中。痺れは、正座をしたときの足のしびれが、右手・右足に発生するような感とのこと。座位や立位では軽減するが就寝時が一番感じる。投薬も以前は効果あったが、最近は効果がなくなってきている。(リリカ)整形外科では、MRIでC56間頚椎ヘルニア診断で手術を勧められている。整形外科では、投薬の他、理学療法士のリハビリも受けているが症状の大きな変化はなく非常勤で勤務する脳神経外科の医師からの紹介で来院する。
検査:
来院後に検査をすると、可動域検査では、頚椎後屈・右側屈・右回旋で痺れ出現する。また、ライトテストで右手全体(どちらかと言えば橈骨神経領域)に痺れあり。左のライトテストも左手に同様の痺れ出現する。
分析:
座位・立位で痺れが軽減していることから、改善の余地はありと判断し、主に頭部が体幹の前に位置する状態(上イラスト)になっていることによる頚椎への負担(ストレートネックなど)による椎間板内圧の上昇と捉え、胸椎から頚椎についての上位交差症候群(下イラスト)を取り除くように施術プランを進めていく。
施術:
上位交差症候群を正すために、先ずは肩甲骨が上前方に移動している位置を取り戻すことに主眼を置き施術していく。また、同時に前方移動している頭部の位置を戻すための頚椎へのアプローチを進めていく。また、肩甲骨を安定させるためのトレーニングと身体の使い方を学習してもらい、就寝時には、頚椎のカーブを安定させるために博士まくらを使用してもらう。自宅では毎日、肩甲骨の位置を安定させるためのストレッチポールとダンベルを使ったトレーニングをしてもらう。
結果:
当初週に2回、4週目からは週に一回、2ヶ月後には2週に一回のの施術により、症状は改善し、就寝時の上向寝での手足の痺れは消失。頚椎後屈などでの痺れや違和感もなくなる。
考察:
今回のケース同様手術適応と診断された患者さんの来院が増えています。頸部に限らず、腰部の脊柱管狭窄症などもです。これらの障害に対しては、重力下で生活している人類が、これら椎間板などの組織・脊柱にどのような力をかけてきたかを分析する必要があると思っています。
生理的な脊柱の湾曲や筋肉の付着などを考慮し、脊柱のアライメントを整え、身体を縦方向に潰すようなことを避け、逆に縦に伸びる方向に身体を修正してあげれば、今回のケースのような手術適応とされた症状も改善する可能性があると思っています。
今後もこの重力下で起きている身体への変化を研究(抗重力など)し、施術向上に向けて日々精進いたします。抗重力が今後の高齢化社会において健康寿命を伸ばすためのキーワードの一つだと確信しています。
文責:木津直昭