頭痛施術に対する考え

 頭痛を大別すると一次性頭痛と二次性頭痛に分類できます。(慢性頭痛診療ガイドライン2013年版より)

一次性頭痛は 主に片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛に分類されます。

二次性頭痛とは「原因のある頭痛」です。この二次性には「命にかかわる頭痛」あります。その代表が突然襲う「くも膜下出血」などです。

 この一時性頭痛で、有病率の一番高いのが緊張型頭痛と言われています。症状は、後頭部中心の鈍痛が主体で、片頭痛と異なり、発作として感じることはありません。また、頭痛発作中には、姿勢の変化や、階段の昇降といった日常的な動作で頭痛が増強したり吐き気がして、吐いてしまう人はいません。また光や音に敏感の人もいません。

 これら緊張性頭痛や片頭痛に対して、カイロプラクティック施術が効果を発揮することがあります。実際に数多くの頭痛患者が改善するのを見てきています。

但し、この慢性頭痛診療ガイドラインでは、運動プログラム(頭痛体操など)は効果あるに分類されていますが、脊椎整復は効果ないと分類されています。効果があると言う研究結果が出ていないのはとても残念ですが、これは我々カイロプラクティック業界で研究・証明していくべきことだと思っています。

 頭痛という辛い症状が薬を処方することなく改善するのであれば、どれだけ多くの頭痛でお悩みの方を救えるか計り知れません。この技術を世に広めるべきだと思っています。

 先日も来院された慢性頭痛の患者さん(50代男性)ですが、1ヶ月前からの起床時からの頭痛で、左後頭部から頭頂部への頭痛と左頚部から肩への痛みでした。脳MRI、頸椎レントゲンで異常ないと診断された方でした。上部頚椎の右側方への動揺性を矯正し、左頚部から後頭部への筋緊張を取り除き、頚部への安定化エクササイズを行い、一週間後来院された時には、施術後一回も頭痛が起きずに起床できたと大変喜んでくれました。

 このような症例は多くのカイロプラクターが経験していることだと思います。この施術効果は、単なる偶然ではありません。状態を評価し、発症メカニズムを仮説し、頚椎の状態を安定化することにより頚部から首肩への筋緊張がなくなったのです。結果症状はなくなりました。

 一方で、カイロプラクティック施術で効果ある頭痛と専門医を紹介すべき頭痛の鑑別はとても重要です。時に以下の一次性と二次性の鑑別は注視すべきです。

 この一次性と二次性の鑑別ですが、慢性頭痛診療ガイドライン2013年版(日本神経学会・日本頭痛学会監修)によると以下になります。

①突然の頭痛、

②今まで経験したことがない頭痛、

③いつもの頭痛と様子が異なる頭痛、

④頻度や程度が増していく頭痛、

⑤50歳以降に初めて起こった頭痛、

⑥麻痺やしゃべりにくくなったり歩きにくくなったりするなどといった症状を伴う頭痛、⑦発熱や吐き気・嘔吐などを伴う頭痛

以上は、二次性頭痛が疑われますので、専門医を受診して下さい。

文責:院長 木津直昭

 

出典:慢性頭痛診療ガイドライン2013年版(日本神経学会・日本頭痛学会監修)