皆さん、腕が上がらないとすぐに四十肩や五十肩と思っている方が多く、一般的に、四十肩や五十肩は治療には1年以上かかるというイメージが先行してるようです。そして『まだ、年齢は30代ですが、これは四十肩でしょうか?』等と言って心配されて来院される方が非常に多いのです。そこでこの『肩が痛くて上がらないケース』でよく見られる『インピンジメント』のメカニズムについてご説明いたします。
四十肩・五十肩についても以前の記事でご紹介したように「インピンジメント」が発症原因の一つであると思われます。(過去記事:五十肩の原因考察と施術方法を参照にしてください。)
効果的な施術を研究し、その結果より効果がある施術手順がわかってきたので報告いたします。
スポーツ選手などで多く発症する「肩インピンジメント症候群」ですが、最近は長時間のデスクワークでのカラダの使い方によっても発症するケースが増えています。
以下のイラストの腱峰部分にある烏口肩峰アーチに上腕骨の骨頭がぶつかる、もしくは狭まることにより起こるのがインピンジメントです。
その発症理由ですが、形状や骨棘の形成などの理由もありますが一般的な発症メカニズムとして考えられるのはアウターマッスルとインナーマッスルの筋肉の作用だと思います。
上のイラストの赤い矢印はインナーが働いた場合の力の方向です。一方、青色の矢印がアウターが働いた場合の力の方向です。上腕骨頭が青色の方向に向かうと屋根(烏口肩峰アーチ)との間が狭まります。
また、インナーマッスルを使い赤字の方向に向かえば、上腕骨頭は、その場で回旋するので、狭まりません。これが、インピンジメントのメカニズムだと考えます。
(もちろん両方とも大切な筋肉であることは言うまでもありませんが)
そこで今回、新しく施術成果のあったのは以下施術手順
★1アウターを使わせないようにすること
★2アウターの筋群の緊張を取り除く事
☆3上方・前方へ移動している上腕骨頭を肩甲骨関節窩に矯正すること
★4インナーマッスルを使わせる事(強化運動含む)
この順番でアプローチしていくことにより肩関節の可動域は驚異的に改善します。
但し、改善するには3の矯正が可能な場合です。上方に移動して固定され動揺性のない上腕骨頭の場合は、早期の改善は見込めません。この上腕骨頭の動きを触診して、ある程度動きが確認された場合は、肩関節の矯正を行うことができます。
次に、五十肩との鑑別で間違えやすい疾患として、上腕二頭筋長頭の伸張による腱鞘(トンネル)内での摩擦ストレス(圧迫)です。この場合も、肩関節の可動域は極端に現象し、痛みも強く挙上できなくなります。(パソコンやスマホの使い方が影響してこの症状での来院も増えています。)
この症状は、上腕骨頭が前方に位置することで、上腕二頭筋長頭腱の部分で強い摩擦ストレスが加わるのです。この場合も、上腕骨頭の矯正が効果あります。痛くて上がらない腕が、瞬時に挙上できるケースがあります。(但し、この上腕二頭筋長頭腱が炎症・肥厚している場合もあるので冷却の必要性も付け加えておきます。)
また、予防として重要なのは、肩甲骨の位置です。最近多いのが肩が前に巻き込む、「巻き肩」の方が多く、この状態ですと、上腕骨頭の前方・上方へのズレが生じやすくなり、上記のような『肩インピジメント症候群』が起きやすくなるのです。
日頃のデスクワークの習慣で症状を悪化させ来院される方が増えています。カラダの使い方や、デスク環境なども重要です!肩が上がらないと感じたらご連絡ください。
悪化する前の施術が関節の動きを固定せずに早期の回復に繋がります!
KIZUカイロプラクティック 院長 木津直昭
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