症状
出産後の腰痛の悪化を訴え来院。痛みは妊娠中から現れ、特に出産後に痛みが強くなってきた。長時間座ってから立ち上がる時や体を前に屈む時(前屈)に腰全体が固まってしまった様な痛みを感じる。また出産後から尿漏れをする様になった。
分析
初回時の検査では、腰椎や骨盤の関節に整形外科学的な異常は見られなかった。 側面からの姿勢分析では、腰の反りが強く骨盤が前傾しており、下部腰椎や腰の筋肉に強い緊張と圧迫が加わっていることが推察された。
筋力の検査では腹筋とお尻の筋肉(大殿筋)に弱化が見られ、骨盤や腰椎を安定化させるための筋バランスが崩れていることが考えられた。
施術
初回の治療では、腰の圧迫を取り除くために前傾している骨盤と腰椎、股関節の関節軸を正す様に矯正を行った。また腸腰筋(腰椎、骨盤から股関節に付着している筋肉)や腰方形筋(肋骨から骨盤に付着している筋肉)に癒着が見られ、これも姿勢の変化を固定化している要因と考えられたため、癒着に対して筋膜リリースを行った。
また、これは妊娠前のデスクワークの影響からか、猫背も強く胸椎の可動性も減少していた。胸椎の可動性が少ないと呼吸が浅くなり横隔膜が上手く働かなくなる。横隔膜は腹腔の上壁を構成しており、腹腔内圧を高めることで腰部の安定化に貢献しているため、胸椎の可動性を改善するためにも治療を行った。それと同時に、腹腔の底面を構成する骨盤底筋群が出産にともなって緩んでしまったことが尿漏れの原因と考え、骨盤底筋群を引き締めるためのエクササイズを行う。 結果、3度の治療で腰痛は気にならないレベルにまで減少。尿漏れもしなくなった。 現在、骨盤周囲の筋バランス改善のためのエクササイズを処方し継続治療中。