症状
サッカーとフットサルのアマチュアチームにて(練習・リーグ戦など)定期的に活動。 2ヶ月前、打撲などの外傷は特に記憶がなかったが練習中徐々に痛み始め、終わり頃には足が付けない程の痛みと腫れが出現。腫れと痛みが出た翌日は内踝の下に内出血が現れ脛から下全体が浮腫でパンパンになった。 整形外科を受診しレントゲンでの損傷は見当たらず接触プレーの中で気付かずにぶつけていた可能性で説明される。整骨院でも骨膜炎の疑いで冷却や消炎作用の軟膏を塗って対処。 段々と痛みは引いてきたが腫れが変化せず患部の押圧や強くボールを蹴ると痛みが残る。 激しい動きは控え、加減しつつプレーを続けていた。
分析
2ヶ月前の経緯(浮腫や翌日以降で現れた内出血)から推察すると下腿から足首にかけての筋・靭帯などで組織の損傷があったであろうことが考えられる。傷めた当初よりは改善がみられるが、現在も内踝の周辺広くに腫れがあり、特に距骨の前面やや内側に圧痛が残る。
本来であれば足首を背屈時、距腿関節においては脛骨関節面と距骨滑車が滑り込むように動く事とアキレス腱の伸張が伴って達成される動きが存在する。距骨下関節の部分にくぼみができる状態が正常なのだが、動かす前から腫れがあり背屈時にも距骨滑車が滑り込まず明らかな可動制限がみられる。また、自動で可能な範囲の限界に達すると押圧に似た痛みが生じた。
距骨の前方変位およびアキレス腱・ヒラメ筋の短縮が来院時の状態から診られ、2カ月間庇いながら動いていたことで下腿深部筋(主には後脛骨筋など)の過緊張も足関節の運動制限を引き起こしていると考えられる。
施術
右足に荷重がかからないように庇い、左外側に偏っていた重心を戻すように骨盤と股関節を調整。左側の腰椎-骨盤-股関節までの圧迫を軽減させた後に患部周辺の筋・腱の緊張緩和操作を行う。浮腫が見られる患部周辺とアキレス腱にはグラストンテクニックを用いて癒着を取り除いた上で、足関節(距骨の前方変位)に対してアジャストメントを加えた。施術後は背屈時の可動制限と痛みの出現・通常時の浮腫に改善がみられた。 後日練習後に連絡が届き、1回の施術で「走る・止まる・強く蹴る」での痛みは消失。今後も加減をしながら練習でボールを蹴ってもらうように指示して経過観察中。
今回のケースでは直接的に傷めてしまったタイミングがはっきりとしていませんが、インステップキックでボールを蹴る時に足の甲の芯で捉えることが出来ていれば問題が起こりにくいのですが足先に近い所で蹴る癖がある場合は蓄積疲労で起こり得る問題です。 インステップキックが無意識にインフロントキックに近くなり足先で捉えてしまう場合には、梃子の原理でヒラメ筋・アキレス腱が受けるダメージが大きく足首も大きく底屈してしまい距骨が前方に押しされる力が働くので注意が必要です。