No.218 ヴァイオリンニストの頭痛 30代 女性

症状

慢性的に続く後頭部から側頭部の痛みを訴え来院。もともとは頭重感であったが最近は拍動性(脈打つ)の痛みがある。ヴァイオリンは1日1~2時間の練習、デスクワークなどの作業はあまりないとの事。

分析

環椎後頭関節の圧迫が強く後頭下筋群の圧痛と癒着による硬結が見られることから、筋緊張性頭痛が生じていると考えられる。痛みが拍動性ということから偏頭痛の可能性もあるが、治療としては上部頚椎の機能障害を改善させることが必要であった。中部頚椎の前彎は消失し、ストレートネックも見られる。
図:後頭下筋群の緊張で側頭部に痛みが生じるケースは多い

施術

最初は癒着している後頭下筋群に対し、グラストンテクニックを加える。上部頚椎関節に対してはアジャストメントを行い、関節の圧迫を改善させた。中部頚椎に対しては前方への動きを加え、ストレートネックを改善させる。この治療を10回ほど行った時点で頭痛はほとんど感じなくなった。
ヴァイオリンは顎を引いて肩と顎で楽器を固定させるため、後頭下筋群に伸張性がなければこの動きは正常に行われません。後頭下筋群に癒着がある状態で顎を引くと、関節間の圧迫は強くなり、神経や血管の機能が低下します。この問題が生じると、筋緊張性頭痛や偏頭痛など様々な頭痛が発症しやすくなります。また、ヴァイオリンという楽器の性質上この症状は起こりやすいとも言えます。特に今回のように首や後頭部のあたりに筋肉の硬結やしこりを感じ、マッサージやストレッチで改善しない肩こりや頭痛をお持ちの方は同様の障害が発生している可能性がありますので、一度ご相談ください。