症状
1週間前から始まる強い腰痛を訴えている。ピアノの演奏中に痛み始め、演奏が終わり立った時に最も強く感じる。今は何もしていなくても痛みがある。慢性的に腰痛は感じるがここまで強くなったのは初めてである。1週間後に本番が控えており、早急に改善させたいとの事。
分析
演奏のフォームをチェックすると、腰を後ろに丸めているように見られる。それに伴い胸腰部の後彎が強くなり、触診上で第5腰椎の前方変位が確認される。下部腰椎から仙骨にかけての前彎は強くなり、反り腰を伴う椎間関節症候群が生じていると考えられる。筋肉はスパズムを起こしており、俗に言うギックリ腰の様な状態である。
施術
治療は腰仙部の関節を開く必要があるが、患部に炎症反応があるため強い刺激は避けるように行う。腸腰筋の緊張を改善させ、患部はオイルを使い筋スパズムが強くならない様に緩和操作を加える。その後に胸腰部の後彎を改善させた。治療直後に動作での痛みは残っていたものの、翌日には70%程の改善が見られた。この治療を3日続けその後、1日おきに治療を行う。一週間後の本番では、ほとんど痛みを感じる事は無く納得のいく演奏が出来たようである。治療後、3週間で腰痛を感じる事は無くなった。
今回のケースでは演奏フォームにおける腰の丸まりが原因で腰痛が悪化したと考えられます。この演奏フォームは本人としては「身体の脱力」を意識していたとの事です。「身体の脱力」は音楽において重要なことですが、これは腰を丸めて座るものとは異なり、下腹の支えがキーポイントになります。また体軸の歪みが強いと「身体の脱力」は適切に行われず、これが原因で身体を痛める事も多く、今回のようにギックリ腰につながる場合もあります。例え軽い腰痛であっても強い歪みが存在する場合もありますので、気になる方はご相談ください。