症状
仕事がら1日座っている。動いているとそれ程ではないが、座ってたり立っている時間が長くなると腰が重くなり、座ったり腰を叩きたくなる。 靴はヒールを履くことが多いが、ランニングシューズや平らな靴を履いても腰が重くなる。たまにランニングをすると腰痛と股関節も痛くなるとの事。
分析
初診時、立位姿勢を横から見ると骨盤(下腹部や足の付け根)が膝より前に突き出し、骨盤が後傾し首まで大きく丸まっている。 座位姿勢も同じく骨盤が後傾し猫背になっていた。どちらもうしろ重心である。可動域検査では股関節が固く、また股関節前部や下腹部、太腿裏(ハムストリング)の筋肉に強い緊張があった。
施術
治療では股関節と骨盤周りの筋肉・関節のを調整し、骨盤が後傾せず立った状態でキープできるようにエクササイズとストレッチを行ってもらった。 また、いくつか立ち方・座り方など日常動作を改善するようにアドバイスをした。 翌日の仕事では5割程腰痛は軽減されていた。4回の治療で1週間良い状態をキープでき、腰痛・重さを感じなくなった。現在、ランニングフォームも改善しながら継続治療中。
この方は骨盤後傾姿勢の典型的なパターンでした。 骨盤後傾姿勢の特徴は立位では、骨盤(下腹部や股関節の前面)が膝より前に位置し骨盤から猫背が始まります。 座位でも同じようにお腹の力が抜け腰に体重を乗せてしまいます。この姿勢は股関節の動きが制限され、同時に腰の正常な前カーブがなくなるため腰への負担が増え、 その役割を股関節が担うため股関節、膝への負担も大きくなります。この方はランニングをされ股関節の痛みもありました。骨盤後傾はうしろ重心になりやすいのです。 骨盤後傾の状態でランニングをすると体幹が使えず主に腿の前側の筋肉(大腿四頭筋)が使われます。これは運動制限がある股関節をさらに詰まらせてしまいます。おそらくこれが原因となっていたのでしょう。
骨盤の後傾は様々な症状を生みます。 今回の症状の他に、股関節前面が圧迫され下肢への血流が阻害されるので足の冷えやだるさを感じたり、 内臓が下垂するため圧迫され機能低下が起こる場合もあります。過剰に骨盤が反った状態(反り腰)もいけませんが過剰に後傾してしまうのもいけないのです。