No.189 慢性的な疲労感(自律神経失調症) 38才 女性 会社員

症状

1年以上前から続く、慢性的な疲労感、だるさを訴え来院。1~2年前から徐々に日中の身体のダルさや眠気などを強く感じるようになり、様々な不定愁訴が周期的に出るようになった。背部痛や頭痛、急激な肩こり、弱いしびれ感や知覚異常を感じるようになり、医療機関を受診したところ、ストレスによる自律神経失調症との診断を受け、休養するようにアドバイスされ、薬も処方された。アドバイス通り凡そ一ヶ月程度仕事を休んだところ症状はだいぶ落ち着いたが、職場に復帰したところ徐々に同じような状態になった。その後も複数の医療機関を受診してみたがあまり症状に変わりはなく、緩やかに悪化の傾向をたどっていると感じている。

分析

初診時、背部から頚部に掛けて強い緊張が見られた。姿勢は猫背になっていたが、顕著なものではなかった。頚部の可動域は伸展(頭を後ろに倒す)でつまり感があり、天井を見る事が出来ない状態であった。加えて、頚部の伸展後に軽くぼんやりする感じを訴えたが、マイグネテストでは目立った所見はえられなかった。また、肩の可動域は外転(外側から頭の上に手を挙げる)と屈曲(前方から頭の上に手を挙げる)は3割程度の減少がみられた。他の神経学的検査、整形外科学的検査では陽性反応は見られなかった。

施術

治療では過度な筋緊張を緩和させる為に、頚・肩部の可動域改善を目安に進めていった。3回目の治療後には頚部の可動域は7割改善し、天井を見上げることが出来るようになった。その後、5回目の治療後には肩の可動域も9割改善していた。主訴である慢性疲労感やダルさは徐々に減少し続け、10回目の治療時には開始時の1割程度まで落ち着いていた。同時に不定愁訴もほぼ見られない。現在は徐々に治療間隔を伸ばし、2~3週間に一度のペースでメンテナンスを行っている。
今回のケースは、患者さん本人が原因もよくわからず、対処に悩んでいらっしゃいました。結果的に、仕事の疲れの蓄積→筋緊張や関節可動域の減少→慢性化という流れを繰り返していた為、疲労が慢性化し自律神経機能の低下を招いていました。一口に自律神経失調症といっても症状や原因は様々です。日常や生活習慣に起因するケースは、その原因自体に気付きにくく、放置されている事も多々有りますので注意が必要です。