No.175 ゴルフ後の左肩甲骨の内側の痛みと左腕の痺れ 52才 男性
症状
左肩甲骨の内側の痛みと左腕の痺れを訴えて来院。数年前からよく出ている症状で、ゴルフをすると痛くなる事が多い。普段は湿布を貼ったり、安静にしている事で症状は緩和するが、今回は痛みが徐々に強くなっている。自分でストレッチや、揉んだりしたが効果が無く、より痛くなった。痛みは常にあるが、長時間同じ姿勢(立位、座位)では特に痛みと痺れを伴う。寝ていると楽だが、体勢によっては痛みと痺れがでる。整形外科ではレントゲンを撮ってもらい、下部頚椎で骨と骨の間の軟骨が薄くなり、間隔が狭くなったからと診断を受けた。
分析
初回検査時、後方からの観察では、明らかに左肩が上がっていた。側方からは、特に左肩が前方に入り込み、猫背が強く、頚椎のクレーンネックがみられた。頚部の動きは、どこに曲げても痛みがあった。しかし、患部が伸長時と収縮時の痛みに違いがあり、収縮した時の方が鋭く感じた。触診では、特に左の肩甲挙筋や菱形筋、広背筋、小胸筋、など肩甲骨回りの筋肉の緊張が強く肩甲骨の動きを制限させていた。 整形外科検査では圧迫テストで陽性反応、神経学検査ではC5レベルでの感覚異常がみられた。
施術
初めに左の肩甲挙筋の緊張をストレッチをしながら調整した。この際にただ伸ばすのではなく、他の筋に負担がかからないように行った。この時点で可動域はかなり広がった。猫背からクレーンネックに関わる負担部位に対して、緩和操作、モビリゼーション、マッケンジーを行った。特に後頭下筋、菱形筋、胸椎(胸腰部椎骨と頸胸部椎骨)に対して重点的に行った。 前後(特に左側での)と左右のバランスを整えた事で、しびれはほとんど無くなった。頚部での左肩甲挙筋の緊張を入念に取り除き、1回目の施術は終了。この時点で痺れはほとんどなく、痛みが少し残った。(鋭い痛みは消えた) 5回の施術で症状は消失。姿勢の悪さ(猫背)は以前からなので、姿勢改善の為に月1回のメンテナンス治療中。 今回の痛みは姿勢の悪さがゴルフにより助長され、左肩甲骨の内側の筋肉に過剰なストレスが加わり痛みを起こしたことと、一時的に頚椎での神経圧迫を起こしたものが原因と思われます。テイクバック時に肩の入りや頭を残す事を意識しすぎると、左の首の筋緊張が高まります。猫背なども身体全体の可動域の低下(特に肩甲骨)を招くので、結果的に首への負担を増大させます。今回はこれらが原因で肩甲挙筋が過緊張を起こしたと思われます。また、それが影響して左肩甲帯を中心とした周りの筋肉が過緊張を起こし、もともとの不良姿勢がより悪くなった状態で固まってしまい、下部頸椎での負担を高め 神経を圧迫したと思われます。筋肉が過緊張を起こした時に、その筋肉だけを伸ばしてストレッチをかけたいのですが、他のまわりの筋肉が余計にストレッチされると、逆にそれらが過緊張し症状を悪化させてしまう事があります。揉むのはよくても、伸ばすのはよくないことが多いのです。
まずは下記に注意して、ゴルフを楽しんで下さい。
①普段の姿勢を気を付ける
②ゴルフ前後に背中を反らすストレッチを行う
③ゴフル前後に腸腰筋のストレッチを行う
④自分の可動域にあったテイクバックを意識する
⑤痛みがある時は筋肉を無理に伸ばさない