症状
2週間 趣味のロードバイク(歴4年)でいつものコース(40km)を走った。走る前から首の後ろに重だるさを感じていたが走行中は気にならなかったため、いつもと同じペースで走った。翌日より頭の盆の窪から首の付け根にかけて鈍痛が出始めた。筋肉痛だと思い、湿布を貼ったが変化は無かった。徐々に痛みの範囲が肩まで広がり、頭痛も出現するようになった。仕事中のデスクワークで悪化し、マッサージに行くと軽減している。
分析
初回検査時、姿勢を横からチェックすると鎖骨から上で首が急激に前方に出ているクレーンネックになっていた。頚部の可動域を調べると屈曲(うなずく動作)で制限と後頚部の張り感が出現した。触診では後頭下筋群(盆の窪)に強い緊張と圧痛があり、症状が再現された。その他、肩甲骨付近の胸椎が後ろに大きくカーブし柔軟性が少なくなっていた。
施術
治療では、後頭下筋群の筋緊張をリセットし頚部の関節軸を調整しました。次に首の土台となる胸椎のカーブにも治療を行い、猫背ではなく良い姿勢が取り易くなるように前後のバランスを調整しました。後頭下筋群のストレッチ方法と仕事中の姿勢のアドバイスを行って、ロードバイクはいままでと同じように続けてもらいました。 初回の治療で鈍痛は8割減り、首の可動性も回復しました。もともと運動していた体ですので治癒力は高かったようです。しかし、痛みは取れても背景にある問題は軽いものではありません。現在も2週間に1回のペースで継続して治療を行っています。
痛みの原因は、後頭下筋群の筋スパズム(筋肉の過緊張)が出現し、それにより肩こりや頭痛(筋緊張型頭痛)まで随伴するようになったと推測されます。頚椎の軸運動は伸展(天井を向く動作)が優位な状態で頚椎の上部の可動性が亢進していました。 ロードバイクは発症のきっかけになっただけで、原因は日常のデスクワークにありました。彼の姿勢はいわゆる猫背であり、通常の人よりも普段から後頭下筋が緊張してしまう状態にあったようです。この状況で趣味のロードバイクに乗ったために発症の一線を越えてしまったのだと思われます。ロードバイクはスポーツです。そのライディングフォームは速く効率よく走る為のものですので、決して体への負担が無いものではありません。通常走行では前傾姿勢となり視覚情報を得るために顔のみが起き上がります。その際に使う筋肉がリスクを孕んでいたのが後頭下筋群だったのです。