症状
自転車に乗っている時の膝の痛みを訴え来院。右膝外側付近に鋭い痛みがあり、主に自転車のペダルをこぐ際に出現する。3ヶ月前より自転車通勤(約1時間)を始めた。しかし、1ヶ月前から少しずつ右膝に違和感が出現し、徐々に膝痛に変わってきた。最近では階段の昇り降りでも痛むようになってきた。
分析
初回検査時、右膝に腫れはなかったが、膝蓋骨(膝のお皿)の外側に圧痛があった。また、右股関節を外側に広げる筋群に力を入れてもらうと膝の痛みが再現された。膝蓋骨の外側には股関節から膝にかけての長い靭帯(腸脛靭帯)の付着部があり、そこが今回の痛みの原因となっていると思われた。 膝関節を90°に曲げた状態で膝蓋骨の外側を押さえ、膝を伸ばしてもらうと強い痛みが再現された。いわゆるランナー膝の検査であるGrasping testが陽性であった。膝関節の動きには異常がなく、右殿部の筋群に圧痛と緊張が確認された。また、腰に強い右側への動揺性が確認され、症状の右側への出現理由が予想された。
施術
治療としては、まず殿筋と股関節外側の筋群をゆるめて腸脛靭帯にかかるテンションを下げる。そして、腰の右側への動揺性が根本的な原因とみて、骨盤のバランスを整えていった。当面、自転車に乗ることを控えてもらいながら治療を継続し、3回目で普段の生活での症状の出現は消え、5回目では膝の圧痛が消失した。その後、自転車通勤を段階的に開始してもらったが、現在まで症状は再発していない。
本来であれば両足に等しくに負荷がかかるはずであるペダル動作で、右膝にのみ症状が出現したのは普段から右側の足に負担をかけているクセがあり、それが自転車のペダルをこぐという反復動作で表面化したようであった。