症状
3週間前から続く右顎関節の痛み。食事の際に右奥歯で物を噛むと顎の痛みを感じる。また、あくびや歯磨きで口を大きく開けるといやな感じがする。思い当たる原因はない。1週間前からは左側に頭痛を感じるようになってきた。他の症状として両側の肩こりが4年前から続いているが、頭痛になることは無かった。
分析
初回の検査では開けられる口の大きさは指二本がギリギリ縦に入る程度で、それ以上は怖さから開けることが出来なかった。右側の顎の筋肉(口を開かせる)は緊張しており、顎の関節の動きにも左右差があった。左側の側頭部の筋肉に緊張があり、押すと痛みがあった。後頚部から肩にかけても筋の緊張があり、いわゆる猫背の姿勢であった。また、背中を反らすことが困難であった。
顎の痛みは顎関節の機能障害によるものであったが、その原因を作っていたのは顎を開ける筋肉の緊張であった。よく聞いてみると彼女は仕事中に左手で頬杖をつきながら右手でマウス操作をしているとのこと。顎の関節は開閉だけでなく左右への動きも含んでおり、頬杖をつくと左右からの力に対して顎の位置を維持するために不必要な筋収縮が起きてしまう。また、頭痛は側頭部の筋緊張が原因となっていると思われた。この筋は口を閉じる作用を持っており、右側をかばって左側で物を噛むようになったため生じてたようである。
施術
治療としては顎の筋肉を緩めてから顎関節を正常な位置にゆっくりと動かした。初回の治療で指3本まで口を開けられるようになり、歯をくいしばっても痛みは出なかった。頬杖をつかないよう指導するとともに、頬杖をついてしまう原因である猫背に対するアプローチも必要と判断し、首と背中をしっかり反らせるよう治療した。初回の治療後に頭痛は緩和し、5回目の来院で顎の痛みは消失。肩こりもほとんど感じなくなっていた。現在は姿勢改善を目標として継続治療中。