No.116 頚椎ヘルニアによる腕の痛みとしびれ 45歳 男性

症状

首の痛みと、肩から右腕にかけての痛みとしびれを訴え来院。二ヶ月前に首の痛みが出始めた。首の痛みが徐々に悪化すると共に軽い右腕に痛みとしびれが出始める。一ヶ月半前に朝起きたら痛みの為に首が動かず、強い右腕の痛みとしびれを感じた。当日に整形外科を受診し検査を受けたところ頚椎椎間板ヘルニアと診断され、鎮痛剤と筋弛緩剤を処方された。鎮痛剤と筋弛緩剤を飲んでも痛みが緩和しない為、神経根ブロック注射を打ったところ安静時の痛みは軽減した。 その後もブロック注射を打つと安静時の痛みは軽減するものの首の可動域は減少し腕の痛みとしびれも慢性化してきている。

分析

初回検査時、痛みの為に頚部の可動域は全体的に減少し、特に屈曲時には腕への痛みがあり、伸展は痛みで殆ど動かなかった。神経学的検査では第5頸椎レベルで顕著な陽性反応が見られた。姿勢は痛みを庇うように首を前に突き出した姿勢になっており、痛みの為に仰向けで寝る事が困難だった。

施術

初回の治療時には、痛みの為、頚部への直接的なアプローチが困難な状態であった為、椎間板のストレスを緩和する様に胸部、腰部からアプローチ。姿勢全体を起こし、頚部の強い緊張を緩和していった。 初回の治療後に、頚部の可動域は伸展で20%程度改善した。
二回目の治療時には、全体的に頚部の可動域に改善が見られ直接的なアプローチが可能になった。頚椎椎間板にかかるストレスを緩和するため頚部の緊張を緩め、肩から胸部に対して補助的にアプローチ。 治療後には頚部の可動域は伸展で50%程度改善し、他の可動域も改善が見られた。
三回目以降は、状態をみつつ頚部の椎間版へのストレスを軽減する事と、胸部や腰部などからも補助的にアプローチ。
七回目の治療時には安静時、頚部の運動時の痛みは消失。 更なる症状の安定とリハビリの為、治療継続中。
今回の様に重度の椎間板ヘルニアの場合、強い痛みの為に直接的なアプローチが取れない場合もあります。そういった場合、構造的に椎間板は背骨全体のバランスにも影響を受けているので補助的なアプローチから入ります。姿勢を全体として捉え、胸部や腰部からアプローチする事は症状の安定と痛みの改善を考える上では最善策に成り得ます。逆にいえば、背骨全体のバランスが崩れた状態では患部に直接的なアプローチをしても痛みの再発を招くこともあります。ですので、椎間板ヘルニアは予後の症状の安定とリハビリ、姿勢を崩さないことが重要になります。