症状
34歳 女性 主訴: 不眠や後頭部頭重感
不眠や後頭部頭重感で日常生活に支障があり来院。2022年1月からテレワークが続く、4月から7月まで専門学校通い、机に向かって勉強する時間が増えたため、特に不眠や頭痛が辛くなり、7月には専門学校を辞める。その後メンタルクリニックを受診し睡眠導入剤を処方してもらう。
その後8月にコロナに感染し、その後症状悪化し、パニック障害の様な症状になる。この6月からは、この睡眠導入剤無しでは寝れない状態が続いている。
分析
頚椎から胸椎にかけてのカーブが正常のアライメントではなく、ストレートネック状態が強く出ていた。昔、バイオリンをしていた影響もあり、胸鎖乳突筋の左右差がある。結果、ストレートネックになりやすく、かつ頚椎の側方への動揺性も強く現れていた。また、巻き肩が強く、浅呼吸により胸郭の動きが少なく、特に小胸筋が拘縮していた。
施術
頚椎のストレートネック状態と胸鎖乳突筋の左右差を取り除くために、上部頚椎の側方変位を正しい方向に矯正する。また下部頚椎に関しては、胸椎からの連動を考え、モビライゼーションを加えていく。そして、小胸筋の拘縮を取り除き、小胸筋のアクティブな活動を促すエクササイズや小胸筋を使った深呼吸のトレーニングを行う。
セルフケアとして、自宅での小胸筋を使った深呼吸トレーニングとストレッチポールを使った姿勢ニュートラルエクササイズを日に数回行ってもらう。
考察:
この方は、初回症状についてディスカッションしているときに、涙ながらに辛い状態を話されていました。その時にお伝えしたのは、「辛い症状にも必ず原因があります。そして人間は、その症状を治そうとするし、治すための薬と同じような効果ある物質(ホルモンなど)も持ち合わせています。だからその本来の身体の働きを改善方向に持って言ってあげれば、必ず辛い状態でも治るからと』
この方の状態を見て、聞いて、触って、感じたのは、『呼吸が浅い』『胸郭が動いていない』そして『長年のバイオリン演奏によるストレートネック』です。その後、実際に整形外科的テストを行い、この呼吸や巻き肩を改善させるための施術とセルフケアを正しく行ったことが症状の早期改善に繋がったと思います。
ただ、この習慣的な障害というのは、日常が変わらないとまた繰り返すことになりますので、日常で呼吸が正しく行われ、姿勢の維持も重要になりますので、今後は体幹の強化や歩き方や座り方の改善を提案して参ります。
文責:木津直昭