ストレートネックがどうして起こるのか?
ストレートネックのメカニズムが理解できると、どう対応すべきががわかります。そこでストレートネックのメカニズムについて考察してみます。患者さんからストレートネックは治らないのでは?とよく聞かれます。頚部の形状は戻らない可能性はあります。(レントゲン像で正常に戻る例も存在します)
但し、痛みや不調と直結する『機能』は改善できるのです。レントゲンでストレートネックと診断されても痛みがある人とない人が存在します。その痛みがある人と、ない人の違いが首の機能が正常に働いているか否かの問題です。この正常機能が働いていない時に起こっている重要なことがが頚部屈筋群の深層筋の弱化です。(Clin . Sports Med . 22:639–667. 2003.)
体幹のインナーマッスルについては、よく耳にしたことがあると思います。そのインナーマッスルは、実は首にも存在します。首を安定した状態にするには首のインナーマッスル「頚長筋」「頭長筋」を働かせて(屈筋群)「胸鎖乳突筋」「後頭下筋」に負担をかけないようにする必要があるのです。頭部を前屈する動作や顎を引く動作で、頭長筋は緊張します。(但し、無理やり顎を引くと後方部分の後頭下筋群や胸鎖乳突筋も緊張します。)
以下聖路加国際病院整形外科 医長辻壮市先生のご協力頂き、猫背と正しい姿勢の違いをレントゲンで撮影してみました。下のレントゲン像で、頭長筋の位置を赤色線で示しています。矢印で示してあるのは。後頭部下筋群の緊張を比較しています。
この画像一見すると正しい姿勢がストレートネックのようにも見えます。
このようなことがよく起こるのも事実です。実はよく観察すると左の猫背画像は下部頚椎から後弯が強くなってきています。首のインナーマッスルが弱く、この状態が長く続けばストレートネックや逆カーブになる可能性があります。首の前方部分と後方部分が拮抗している状態が安定しています。これが頚部の関節のニュートラルな状態と言えます。この状態であれば、首は安定していて、ストレートネック症状は出現することは滅多にありません。言い換えれば、この筋が働かない状態は、様々な障害を生む可能性が高いのです。
そこで次にストレートで障害を生むケースについてですが以下画像の変化をごらんください。
オレンジ色で示しているのが胸鎖乳突筋です。この筋肉が過剰に緊張する状態が続くと、伸びにくくなるため頚椎自体が前へ曲がり、逆カーブ方向に崩れていく可能性があります。例えば、長時間スマホを真下で見る姿勢などがその典型です。
この状態が長く続くと、誰でも頚椎が後湾曲してきます。そして、顔を上げてその状態がリセットすれば問題ありませんがこの状態が固定された状態が「ストレートネック」状態なのだと思われます。実際にストレートネックが改善した例を次の研究ページでまとめてみました。
ストレートネックは首 (くび) が直線もしくは逆カーブになっている状態本当はゆるやかな前へのカーブになっている。
ストレートネックのメカニズムを考察する上で
患者さんの頚椎(多関節)をまたぐ”胸鎖乳突筋”の状態について
調べていくと明らかに拘縮している場合が多いのです。