No.192 猫背と背中の痛み 38歳 男性 画家 ニューヨーク在住

症状

1週間前に来日。2日前の起床時から背部痛が出現し、宿泊しているホテルの紹介で来院した。 日本へは仕事で来ており、この1週間はほぼミーティングばかりであった。特に背中に負担がかかりそうなこともなく、思い当たる原因はない。首を反らす動きで痛みは増悪する。

分析

姿勢を評価してみると重度のクレーンネック(顎が前に突き出て、首がクレーンのように斜めになっている)であった。背中も過度の猫背で胸椎のカーブも大きく後方に弯曲していた。背中を触診したところ左右の肩甲骨のあいだに手の平大くらいの範囲で鈍痛を訴えた。主訴の痛みと同様のものであるとのことと首から肩甲骨にかけての筋肉に過緊張があったことで症状の原因部位と考えられた。
何故きっかけもなく症状が現れたのかが気になり、よくよく話を聞いてみるとホテルの枕が低すぎると訴えていた。いつも自宅で使用している枕はかなりの高さがあり、自分の首には非常にフィットしているとのこと。おそらくは現在の彼の姿勢のカーブに合っている(体の方が合わせた?)自宅の枕とは著しく大きさが異なったため、彼にとっては不自然な就寝姿勢となってしまったようだった。背部への荷重増加し、頚部は反らしたような位置になり、頚肩部の筋の長さは縮められるような形になってしまった。これが過緊張を生じた原因であろう。

施術

治療は症状のある背面の筋肉を緩めるだけでなく、前面の筋(胸側)にも治療が必要であった。前後の筋バランスを整えながら、強く弯曲している胸椎及び弯曲が消失してる頚椎に矯正を行った。治療後の変化では可動性の向上と主訴の80%軽減がみられたが、姿勢の変化は顕著には認められなかった。彼には寝ている姿勢と彼自身の姿勢の問題点を伝えた。明日には帰国するとの事だったのでニューヨークにあるカイロプラクティックオフィスを紹介した。