No.191 首の痛みと手のしびれ(マッケンジー体操後から悪化) 46才 女性 主婦
症状
右首の痛みと右腕のしびれと痛みを訴えて来院。5年前に重い物を持った時に、首に痛みが走った。それから痛みが増していき、数日後からしびれが出始める。病院へ行き、X線とMRIを撮影し、頚椎C5/C6のヘルニアと診断を受けた。動いていると楽で、同じ姿勢を続けていたり、下を向いた姿勢をしていると症状が出てくる。最近、痛みが増してきたので病院へ行った。 そこで、マッケンジー体操の指導を受けたが始めてから、だんだんと痛みやしびれが増していったので、体操は中止しているとの事。
分析
来院時に痛みで首が左へ曲がっていて、左の頚部の筋肉が過緊張していた。右肩は前方で大・小胸筋にも過緊張がみられた。手を垂らしていると痛いので、逆の手で支えるようにしていた。 胸椎は後弯し、首はクレーンネックの状態であった。首を屈曲と左側屈では、右の首~肩甲骨間に引っ張られるような痛みを感じた。また、伸展と右側屈では、右の首~肩甲骨間に詰まるような鋭い痛みと、右手へのしびれを感じた。神経学検査では、右の皮膚感覚の鈍さが確認できた。
施術
治療ではまず、左の頚部の筋肉を緩める事と、胸椎の後弯を取り除く事をメインに行う。この際に、バランスを見ながらでないと、余計に右に圧迫が出るので注意が必要だった。次に右の大・小胸筋の過緊張を取り除きながら、右頚部~右肩甲骨間の筋肉のカウンタストレインを行った。首が右に倒れるようになり、屈曲と左側屈の違和感も改善された。 伸展と他の動きでの最大可動域で痛みがまだ残っていた。4回の治療で腕へのしびれと、首の痛みは消失したが、肩甲骨に疼くような痛みが残った。 10回の治療で肩甲骨間の症状も改善された。 メンテナンスのため、月に1回での継続治療中。
今回のケースは、マッケンジー体操をした後に痛みが悪化したものでした。以前にもお話ししましたが、今、マッケンジー体操はブームになっています。病院へ行ってマッケンジー体操をやり、それ以来痛みが強くなったり、しびれが出てきたりという方は少なくありません。マッケンジー体操は身体を反らす事に注目して行う体操です。 正常な頚椎前弯を作ることが目的です。しかし、胸椎の後弯が強い人や、マウス症候群の様にくずれている歪みの方は、反らす事が危険な事があります。反らせる状態をつくってから、マッケンジー体操をしなくてはいけません。首を反って症状が悪化する方は、まずは無理をしてはいけません。カイロプラクティックではマッケンジー体操は昔から取り入れています。その中でも、初めに適応か適応ではないかの検査をします。体操を行う際は、自分の身体に耳を傾け、痛みを我慢して「これは効いている!!」 などと勘違いしないようにして下さい。