No.157 VDT症候群~眼精疲労と頭痛 27才 女性 渋谷区勤務

症状

目の疲れからくる頭痛を訴え来院。就職後にパソコンを使う時間が増え目が疲れると感じるようになってきた。また、それに伴って視力が低下してきている。3年程前から、強く眼精疲労を感じた翌日やその日の夕方から頭痛と後頭部の重さを感じるようになり、ここ数ヶ月は週に1~2回の頻度で頭痛を感じる。眼科や脳神経外科を受診し、頭痛はVDT作業(パソコンでの作業)に由来する筋緊張型の頭痛であると説明を受けた。また、X線検査ではストレートネックを指摘され、これも原因の一端であると説明を受けた。鎮痛剤の服用で頭痛は治まるが、服用頻度が高くなっている事が気に掛かっている。また、医療機関で薦められた適度な運動、エクササイズは出来ていない。

分析

初回検査時、姿勢は重心線より頭部は前方に位置し猫背になっていた。また、頚部の可動域検査では伸展(頭を後ろに倒す動作)で大きな制限と痛みがあった。本人に確認したところ、数年前から目薬を差す動作が辛くなっているとの事だった。加えて、頚部から後頭下部の筋群は強く緊張し圧痛も見られた。

施術

初回の治療時には、頚部の緊張を緩和する為に構造的なバランスを改善するようアプローチ。猫背とそこからくるストレートネックを中心に構造的なバランスを整えた。初回の治療後には首の伸展動作は70%程度改善が見られ、動作時の痛みは殆ど消失していた。また、パソコンの使用環境(主にデスク環境と座り方等)を改善するようアドバイスした。継続して4回目の治療時までの2週間は頭痛が起きなかった。その後、3ヶ月経過し頭痛は1回起きている。頭痛が起きた日は明るさの足りない部屋で半日読書をしていた。
今回の症状はVDT症候群の一例です。VDT症候群はパソコンなどのモニターとキーボードやマウスなどの端末を使って作業することで起きる一連の症状の総称です。今回のケースでは、パソコンの平均使用時間は1日8時間、椅子の背もたれを使わずに浅く腰掛け、猫背でストレートネックという状況でした。VDT症候群は症状の発症に構造的な問題も大きく関連しますが、VDT作業環境も大きな関連要素です。椅子や机、労働時間などを変えることは難しいですが、パソコンを使うときの姿勢や椅子や机の使い方を変えるだけでも大きな変化があります。以下に挙げるページなどを参考にまずは出来る範囲での環境整備を行ってみてください。