No.156 ランニング時の肩の痛み 37才 男性 デスクワーク 千代田区勤務

症状

ランニング時の肩の痛みを訴え来院。一昨年からマラソンに参加する目的でジョギングを始めた。昨年から2~3レース程度のフルマラソンとハーフマラソンに参加している。今年の春に参加したハーフマラソンのレース中に右肩に重い痛みを感じるようになり、その後は走る時間が長くなると肩に痛みを感じるようになった。過去に肩の怪我や慢性的な肩こりの経験は無いが、1時間以上(皇居2周、10km程度)走った翌日は右肩に鈍い痛みを感じる。

分析

初回検査時、歩行の時に右肩を引く動作に比較して右腕を前に振る動作が強く、腕の振りに不均衡が見受けられた。また、座位で繰り返しジョギング時と同じ様に腕を振る動作を行ったところ、腕の振りが一定の速度を超えると軽度の痛みの再現が見られた。 加えて、腕振り前後に行った筋力検査では、腕振り後に広背筋の筋力低下が見られ、大胸筋に緊張がみられた。 触診や関節の可動域検査では痛みの再現は無く、他の筋肉に対する通常の筋力検査では問題は見当たらなかった。

施術

初回の治療時には腕振りの不均衡さを改善するようにアプローチ。大胸筋の緊張を緩め、伴って肩甲上腕関節の動きを整えた。また、肩甲骨と肋骨、胸椎などの関節のバランスを整えた。症状は負荷時に発現する為、リハビリとトレーニングを指示した。
3回目の治療時にはジョギング後の痛みは消失した。また、5回目の治療後に行われたハーフマラソンでも痛みの再現は見られなかった。現在はフルマラソンへ向けてトレーニングとリハビリをしつつコンディショニングを行っている。
運動時のトラブルは、負荷が掛からないと痛みが発現しない事が多々あります。また、それらの原因は歪み、筋肉や関節の機能的な問題など様々あり、痛みを発現させる引き金も様々です。運動時の痛みの殆どは怪我や故障に結び付けやすい傾向にはありますが、機能的な問題を評価する事も重要です。