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携帯による障害「メールフィンガー」について

私は自転車通勤なので、電車にはあまり縁がないのですが、たまに地下鉄に乗ると前に座っている方々の半数ぐらいが携帯メールを使っている光景に出くわします。若年層は親指を使って、目にも止まらぬ速さで打ち込みます。中年層が使っているのも珍しくありません。
実はこの時の手の使い方は、直径4センチの文字盤上を動かすのですが、親指は、第一関節から屈曲し固定された動きで行います。
また他の指は、本体を支えているので、小指側に力が入っている状態です。実はこの動き、「パソコンのマウス操作」に似た使い方になります。
結局のところ、マウスや携帯で一日同じような使い方をしていることになるのです。
この症状は一般的に「反復性運動過多損傷 RSI」と言われていますが、理解しやすいように「メールフィンガー」と名付けてみます。

TEST:「メールフィンガー」障害チェックしてみてください。下図のように親指と人差し指で円を作って左右の円を比べてみてください。円が上手くできなかったり、親指の付け根に違和感や痛みがある場合は注意が必要です。また、最近では、この障害から手根管症候群に見られる指先のしびれが起きることもあります。

携帯メールを頻繁にやり取りする20~30代の若年層ではすでにこの症状になっている方も少なくないのです。この携帯メールは1990年代の後半に発展して以来、ボタンが小さくなったとか、軽いタッチでできるようになったぐらいで動作自体は大きな変化はないと思います。最初から始めた人で約10年ぐらいですから、このままではこの症状が増加の一途をたどるような気がします。マウス症候群簡単リセット法を見て予防しましょう!
*マウス症候群簡単リセット法ー手首と指の痛みについて

RSI(反復性運動過多損傷)についての臨床報告
右手親指の痛み 反復性運動過多損傷 RSI
マウス症候群(マウス腱鞘炎)

「骨盤の開き」考察②

前回のブログから2ヶ月近く空いてしまいました。特に今回は「続編」状態でしたので誠に申し訳ありませんでした。この場をかりてお詫びいたします。

さて、骨盤の開き改善法についてですが、その前に「どうすれば骨盤がしっかりとした状態で開かなくなるか」についてお話しいたします。
結論から言いますと、それは「自然な骨盤の特性」を生かすのです。
ここで言う骨盤の特性とは下図のように地面からの力を上方へ伝えることです。

地面からの力は足を経由して股関節に伝わります。
この左右の股関節からの力は左右の仙腸関節(仙骨と腸骨の関節)ブーツ面に集まります。そしてこの仙腸関節ブーツ面(下図)で受けた力は腰椎に対して浮遊させる力に変わるのです。
(仙腸関節ブーツ面:仙腸関節は地面からの力を受けるためにブーツ面構造をしています。しっかりと受け止め、上に持ち上げる力を引き出しているのです。)

一つ悪い例を挙げてみます。
下図のように身体のバランスが悪くなり、重心が偏り
右腰部筋肉にいつも負担をかけていると、右の腰部筋群が過緊張を起こし伸びなくなります。
そうすると徐々に重心が崩れ、腰椎、骨盤、股関節と左への動揺が始まります。
これが骨盤の開きに繋がっていくのです。(この場合、右の骨盤は開きにくいのですが、左の股関節や骨盤が外側に押し出されるように開いていくのです。)

地面から上がってきた力は真ん中の背骨に集まります。
しかし、足首、膝、股関節、骨盤、腰椎などにゆがみがあったり、体幹を支える筋肉が弱かったりすると力は外に逃げてしまいます。
骨盤の開きを正すには、日常の生活でこの軸を意識するのが一番の近道になります。
そして身体の体幹を鍛えることと足からの力を体幹中心に集めることが重要なのです。
ただ、注意してほしいのは、上図のように身体が歪んでいる状態で体幹をトレーニングすると痛みが発生したり、余計に左外側に開いてしまう可能性があるということです。
体幹コアトレーニングで腰などを痛めた方は、そんな理由が考えられます。

骨盤開き改善法
①日頃から重心軸を意識して生活する。(歩行も含む)
②軸のトレーニング(足&体幹)
*今回は、基本になる足からの姿勢保持のトレーニングを紹介します。

姿勢トレーニング:背筋を伸ばして上に釣られるような状態から身体を曲げずに息を吐きながらまっすぐ前傾してください、身体が倒れそうになるのを踵(かかと)を挙げずに足指全体で支えるようにする。足裏にアーチを感じられるようになってください!
5秒止めて、一度戻して3回繰り返す。

*エクササイズ途中で痛みや違和感があったらすぐに中断してください。
*特に外反母趾の方は無理しないでください。

「骨盤の開き」考察1

骨盤の歪みができる訳

反り腰とは?

骨盤のゆがみと下半身のむくみ

骨盤のゆがみと腰痛

骨盤のゆがみと慢性的な腰痛

骨盤エクササイズについての警鐘

「骨盤の開き」考察①

骨盤が開いていると聞いて、皆さんどのような状態を想像するでしょうか?
最近、この骨盤の開きについて患者さんからもよく質問を受けます。
そしてこの骨盤が開いている状態になっている方がとても多いのです。先日患者さんにご協力頂いて「マウス症候群」についてアンケートととらせて頂きました。その中でPCの使用時間ですが平均10時間です。ほとんど座っていると言っても過言ではありません。実は長い時間悪い姿勢で座っていれば骨盤は開いてくるのです。
そこで今回はその「骨盤の開き」について考察してみます。

図は骨盤を前面から見た状態です。①~③まで番号があるのですが、骨盤の開いているのがどの部分なのか、自覚されていない気がします。 ①は骨盤の上部にあたりますが、ここには仙骨と腸骨の関節があります。その部分が変化するのですが、この部分は左右の動きがある部分で、左右とも同じように開くとは考えられません。右が外側にいけば左は内側へと連動する動きになるはずです。また、前が開いたり、後ろ側が開いたりすることはあると思います。この場合も前が開けば後ろが閉じるというように連動しています。
今回注視したいのは、実は①ではなく②と③なのです。 ②は左右の坐骨間であり、③は股関節です。この②と③の関節は同じ方向への動きをします。②が開けば③も開くのです。厳密に言えば左右が同じように開くわけではありません。どちらか一方が内側への動きがあり、反対側は外側に開いていくのです。
そこで「骨盤開き度」チェックです。

1.一日8時間以上パソコンしている。
2.座っていると足を組むくせがある。
3.歩いているとスカートやズボンのベルト部分がよく回る。
4.靴の減り方が左右の足で違う減り方をする。
5.外反母趾である。
6.足の外側に筋肉がつきやすい。
7.上向きで寝にくい、もしくは寝られない。


3つ以上当てはまると「骨盤開き度」要注意です!
5つ以上当てはまり、どこかに痛みや違和感を感じていたら、すぐにお近くの専門医やカイロプラクターにみてもらうことをお奨めいたします。
次回は、「骨盤の開き」考察②として予防法と改善体操についてです。


「骨盤の開き」考察2

骨盤の歪みができる訳

反り腰とは?

骨盤のゆがみと下半身のむくみ

骨盤のゆがみと腰痛

骨盤のゆがみと慢性的な腰痛

骨盤エクササイズについての警鐘

「膝痛のメカニズムについて」考察②

今回は膝痛のメカニズムついて考察してみます。

前回の疑問点
:なぜこの歩行周期が膝の障害に影響を与えているかのか?
:なぜ年齢とともに膝の痛みが増えるのかに迫ってみたいと思います。



 結論から言いますと、この「歩行周期が完全でなくても歩ける」ということが膝の障害に重大な影響を与えていると考えられます。また高齢になればなるほど増えていくことに関しても、これが原因のメカニズムではないかと推測されます。
 では初めに靴を履いて実験して頂きたいのですが、雨でない日(もちろん雪でもない日)に運動靴を履いて小股でゆっくり歩くのと少し大股で早歩きをするのを比べてみてください。
 ゆっくり歩くと踵が着地してから外側に体重のかかるのがわかり、そのまま後ろの足が出ているのを感じると思います。しかし、少し大股で早く歩くと踵が着いてから外側に一度かかった重心を内側に移して地面を蹴るのを感じられると思います。これが上の図にある歩き方なのです。
また靴の種類によっては、この歩行周期を制限される場合もあるのですが、これは例えば、踵がある底の固い革靴(女性のハイヒールはまた別の歩き方です)でゆっくり歩いてみてください。地面を蹴る動きが制限させられているのに気づくと思います。

この「歩行周期が完全でなくても歩ける」状態で歩けば、足首から膝への正常なメカニズムが働かないため、その上部の股関節や骨盤、そして脊柱へと悪影響を与えます。その結果、自然と体の重心は外側に逃げるようになり体幹がぶれるようになります。これが様々な障害を生じさせる一因になっているのです。これは、最近患者さんに接していると小学生(幼稚園生でさえ)にもこの兆候がみられるようになっているのです。当然、これは年齢に関係なく広がっていると断言できます。
 この障害を治すには、まずその人の状態を正しく評価してから始まります。いきなり正しい歩き方にすれば良いわけではありません。それは、今まで使ってきた筋肉や関節の使い方があるので、それが正しい筋肉・関節の動きを邪魔してしまうのです。ですのでその期間が長ければ長いほど、修正には時間がかかってしまいます。(高齢者が治りずらい理由です)
 この障害は膝痛だけではなく、足指・足裏・足首の痛みや足底アーチの問題を引き起こしたり、股関節痛から腰痛そして体幹の崩れから生じる肩こりや首痛・頭痛にも広がってしまうのです。
 当サイトの臨床報告の中で「ランニング障害」を多く取り上げていますが、ランナーの障害も原因を追究すればこの問題に起因することが多いのです。

 歩行時やランニング時の上記のような痛みや違和感を感じたら、すぐにお近くの専門医やカイロプラクターにみてもらうことをお奨めいたします。また毎日、革靴で会社の往復合わせて30分以内の方も要注意です!

「膝について」考察①

2009年も早1ヶ月が過ぎようとしています。今年は特定部位について掘り下げて、コラムで綴っていこうと考えています。
まず第一弾として「膝」を考察してみます。この膝の障害は、年齢と共に増加傾向であるし、治りが悪い厄介な障害です。以前はシニア層(60代以降)に多く発症するという認識だったのですが、なんと最近では、子供(小学生)にも見受けられるようになっています。
 膝の痛みと言うと「グルコサミン」の通信販売をTV等で良く見かけます。膝痛の方で服用されている人も多いのではないでしょうか?もちろんそのような栄養素も必要だとは思いますが、私の見解では、それよりも機能的な働き(正常な膝の動き)改善することが一番先と考えます。
 そこで膝の関節を語る上で重要な歩行周期というものを考えてみました。
以下に歩行の原則を記してみます。

歩行の原則
歩行時の下肢の運動学を検討するにあたり、いくつかの簡単な原則を確認しておく。
第一に大腿および脚の運動は股、膝の同調運動によっておこる。
第二に距骨の外向き、内向きの運動は下肢の外旋、内旋と同時に起こる。
第三に距骨が内旋すると、踵骨は距骨下関節で外反し、距骨が外旋すると踵骨は内反する。
第四に踵骨が内反すると足は内転し、踵骨が外反すると足は外転する。


 この原則を簡単に言うと、膝の動きは足関節から膝関節そして股関節にかけて連動した動きであり、着地する時と地面を離れる時に違った動きをするということです。(付け加えると骨盤から腰にかけた連動する働きも)
また、膝には固有の解剖的特徴があります。それは膝関節は骨でうまく支持されておらず、軟部組織構造によって安定が維持され運動が可能になっていることです。
すなわち膝は支持と柔軟性を可能にしたすばらしい関節なのです。
そこで注目すべきは歩行周期の中で下図にある踵着地し足指離地から加速期(RLA用語ー遊脚初期)への移行なのです。



次回はなぜこの歩行周期が膝の障害に影響を与えているかのか?
なぜ年齢とともに膝の痛みが増えるのかに迫ってみたいと思います。
(引用文献:神経筋骨格筋障害の臨床評価 Gary M.Greenstein,D.C.著 竹谷内宏明 M.D.,D.C 監訳 足と足関節の痛み Rene Cailliet,M.D 著)