お尻から太ももにかけての痛みや痺れを出現させるこの梨状筋症候群、治療をしていても治りが悪い症状の一つであります。症状の直接の原因は、臀部にある梨状筋が過緊張、もしくは拘縮を起こし、そこを通り道にしている神経(坐骨神経)に触れる事による痛みや痺れを起こす障害です。座位姿勢、寝返りなどの動作で痛みが増強し、ひどくなると歩行でさえも痛みで出来なくなる等、日常生活に影響を及ぼします。
この症状が、数年前より年に一度ぐらい自分にも襲ってきます。その都度、治療してよくなってきましたが、やはり治りは悪いのです。実は、その症状がまた最近、襲ってきました。
一週間前のできごとです。初めは左お尻に痛みが出現し、徐々に寝がえりや動作で痛むようになりました。そして3日後には反対の右お尻に激痛が襲いました。丁度咳がよく出ていたので、咳のたびにお尻に痛みが走り、一睡もできないぐらいでした。
以前より自分にどんな症状が出ても、それはチャンスと捉え様々な治療法を試してみます。
この梨状筋症候群に関しても、今までに様々な治療を行ってきました。結論として、収縮した筋自体にアプローチしてもそれほど良い結果が出ないということです。この梨状筋が緊張する理由が何であるかが問題なのです。それは、以前のブログでも再三出てきている「骨盤アーチ」の崩れであることは間違いありません。この骨盤アーチの崩れを治療していくと治っていくことはわかっていますが即効性というところでは、もう少し研究が必要と思っていたところでした。
そこで今回は、違うアプローチをしてみました。まず、患部である収縮した梨状筋は無視(但し冷却はする)、そして骨盤アーチ(腹横筋、骨盤底筋群、多裂筋)を形成する筋群のうち腰椎の安定性に重要な多裂筋にフォーカスしてみました。梨状筋症候群は骨盤内で起きているので、足先~膝~股関節への連動の崩れによる骨盤の歪みは重要視するものの、この多裂筋が存在する腰椎そのものを軽視してしまう場合があるのです。そこで、今回は、多裂筋が正しく作用するように治療を行ってみました。するとどうでしょう?なんと翌日には、痛みは完全に消失したのです。改めて腰椎=“にくづきに要”の意味を思い知らされました。
●骨盤の歪みができる訳
http://www.chiro-news.com/news/0095.shtml
●「骨盤の開き」考察①
http://www.kizuchiro.com/director_blog/diary.cgi?no=120
●「骨盤の開き」考察②
http://www.kizuchiro.com/director_blog/diary.cgi?no=121
*上図:梨状筋は、Functional Anatomy(Christy Cael,bs,atc,css,lmp)より抜粋