今回のブログでは、レスリングの虜になった一人の患者さんにスポットを当ててみました。
その方は、哲学の世界では、著名な入不二基義さんです。
入不二さんは東京大学(文学部哲学科)を卒業し、山口大学を経て現在は青山学院大で哲学の教授として教鞭をとっています。
その入不二さんが来院されたのが、23年4月です。整形外科にてレントゲン検査で、頚椎4-5-6の狭窄による神経圧迫との診断を受け、症状は頚部から肩へのうずく痛みでした。問診すると、1年前からレスリングを始め、3ヶ月前から筋トレ後に腕に力が入らなくなると言う症状を併発していることがわかりました。
ご本人の治療の目的は、痛みの改善とともにレスリングの再開でした。実は、整形外科では、「首が曲っていて、筋トレなど強い負荷には耐えられないだろうと」言われていたのです。入不二さんは当時52歳、50歳からレスリングを開始して「レスリングの虜」になったのです。
そこで、とにかくレスリングが再開できるようにメニューを組みながら治療がスタートしたのでした。治療効果は徐々に出始め、2ヵ月後ぐらいから、痛みの軽減とともに腕に力が入るようになり、トレーニングも徐々に開始し、そしてついにレスリングができる身体に回復したのです。しかし、翌年のアマチュアレスリング大会を控える中、厳しい練習に身体のあらゆる部位が悲鳴を上げはじめました。手首、股関節、そしてついには、膝の内側側腹靭帯を損傷してしまったのです。それでも入不二さんは、あくまで前向きです「この膝は、どのようなトレーニングをしていけばいいですか?」とまだまだ諦めていないのです。(その時53歳)彼の目が向いているのは、翌年の大会なのです。
3ヶ月後には、膝も無事回復し、その後は順調にトレーニングを積むこともでき、念願の全日本アマチュアレスリング大会に出場したのです。
50歳を超えてから過酷なレスリングに取り組み、重篤な障害にも関わらず、いつも前向きに捉え、諦めず、精神的にも肉体的にも鍛錬を重ねてきた入不二さんの姿勢に感激しました。入不二さんありがとうございます!
全日本マスターズ選手権WEBサイトでの入不二さんの紹介記事
http://www.japan-wrestling.jp/2013/01/14/25103/
青山学院大レスリング部の太田浩監督は「すばらしいの一言。こんな過酷なスポーツに50歳を超えてから挑戦すること自体が、普通ではありえないし、タックルを入れるまでになったことも素晴らしい。その努力を見習わなければなりません」と話し、これからも部を挙げて応援していくことを宣言した。
入不二基義さんのブログhttp://wiki.livedoor.jp/irifuji/d/FrontPage