記事一覧

関節軸調整と寝違えのメカニズムについて

朝、目覚めると首が痛くて動かせない、一般的に言われる「寝違え」ですが、皆様もこの辛い症状を一度は経験されたことがあると思います。
この「寝違え」は経験がない人の方が少ないのではないでしょうか?朝起きて、首が回りにくくどちらかに回すと痛い為、身体ごと回すようにしている間に2-3日の間に徐々に緩和していくという症状です。2-3日で緩和していくので冷湿布をし放置しておく人が多いと思われます。
この「寝違え」ですが、このメカニズムは、関節軸が崩れ、関節の動揺性が急激に増した状態によって起こっていることが多いのです。

下図①の首をかしげてパソコンをしている女性ですが、いつもこのような体勢でパソコンをしているとします。その状態の時には問題ありません。しかし、長時間この姿勢でいたり、肩に力が入っていたりすると徐々に一方行への動揺性が発生しやすくなります。そしてその状態から戻そうとした時に、この関節が元の位置に戻れなくなります。
その状態が下図②の右側に関節が動揺した状態なのです。その時に身体の中で起こっているメカニズムが図③に示してあります。
マウスを使用している為、肩が前に出てその影響から肩甲骨から右の首の骨に付着している筋肉に伸長性の緊張が起こります。この緊張により首の骨は右外側への動揺性が高まります。(首の骨を引っ張り出すイメージです)
逆に左側では、左に首を傾げて電話をしていたので頭が左に傾き収縮性の緊張が起こっています。この両側での作用により右に動揺した第2頸椎の骨が戻れなくなるのです。
この時に頚椎での軸運動ができなくなり、首の動きが制限され、動くと痛みが走るのです。言い換えれば、このまま動くと首の骨が外に飛び出す力が増す為、脳が危険を察知しその動きを止めにかかるのです。それが筋肉の過緊張や炎症に繋がります。
この「関節軸の崩れ」を元に戻すのがKIZUカイロプラクティックで行っている「関節軸調整」なのです。この周りの筋肉は動揺するのを抑えて緊張しているのですから、動揺した頚椎を元に戻し軸をそろえれば筋肉の緊張は必要なくなるのです。それは正常の動きに戻ることを意味しています。正常の軸に戻した後にストレッチなどを行うべきなのです。
関節軸が崩れている状態で無闇にマッサージしたり、ストレッチしてはいけない理由がおわかり頂けると思います。
                   図1

                   図2

                   図3

ところでこの辛い寝違えですが、最近の寝違えは、症状がひどくなっている気がします。先日いらした方も、朝から痛み出し、首をどの方向にも動かせない状態で、歩行や呼吸でも首から背中に痛みが響くために、ゆっくり歩き、浅い呼吸しかできないのです。また肩甲骨や鎖骨への連動する影響から胸郭出口症候群を併発させ腕にしびれや痛みも出現させていたのです。

では、なぜ「寝違えが朝に起きるか?」ですが、「寝る姿勢」と「日頃の首や肩への負担」に影響されていると思います。寝る姿勢では横向き時やうつ伏せの時に多いのですが、これらの寝方をしてみると実感できます。左右の筋緊張が違うのがわかるはずです。特に高いまくらを使ったり、腕枕で寝ながらテレビを見ている時など特に筋緊張を作ります。日中パソコン使用で、首から肩にかけて負担をかけることにより徐々に頚椎の動揺性を作ってしまい、その夜そのような寝方をした時に起こると予想されます。
ここ数年、寝違えの頻度の多い方や、まったく動けなくなるような寝違えはパソコン使用頻度の増加による「マウス症候群」による影響も軽視できないと思います。

・関節軸調整について

・寝違え(急性頚部痛)の応急処置について

身体の使い方について

今年もあとわずかを残すだけになりました。今年最後のコラムは、様々な症状を掘り下げてきた自分なりの総括を述べてみたいと思います。
結論から言うと、身体から発生される「痛み」に代表されるサインは、「使っているところ」と「使われていないところ」のバランスの崩れから来ると言えるのではないでしょうか。このバランスとは左右や前後、または上下や内外、それらを混合したものなどです。結局のところ「身体の使い方」が重要ということなのです。

 例えば、ショルダーバッグを肩にかける時、誰でも少なからず「かけやすい方」と「かけにくい方」が存在すると思います。かけやすい方ばかり使うと良くないと皆が思っているはずです。ところが、かけにくい方の肩にしばらくかけるとなぜか肩からスルーと落ちたり、しっくりこないのです。
また、ゴルフのスイングも左右回転ともにきちんとふれる人はなかなかいません。立って身体を左右に回転させてみてください。回転しやすい方と回転しにくい方があると思います。
単純に考えれば、この回転しにく方向に回せば、くせが戻る気がします。ショルダーバックも反対で持てばいい気がします。しかし、この時の「身体の使い方」そのものが違っているのです。
それは、「使っているところ」と「使われていないところ」というものをその人が自覚していないし、動かそうと思っても身体が上手く使えないのです。その理由には2点あります。一つは、関節の動揺性や筋肉の拘縮があるために使えなくしている。もう一つは、その身体の使い方そのものをしたことが無い為、神経伝達が上手くできない。
 試しに肩幅ぐらい足を開いて、目をつぶって軽くを脇を閉めてゆっくり身体を左右に回転させ、その時の肩甲骨と背骨の間の動きに集中してみてください。まったく違った使い方をしていることが初めの動き出しでわかるはずです。

無意識下で行われる行動は、いつもと同じ動き方や使い方をしています。でもそれで日常の動きはすべてできるし、運動もなんなくこなすことができます。通常は何も問題もないのです。しかし、この一方向の動き方をしていると使い過ぎによる疲労や組織の炎症、筋の拘縮、関節の動揺性等が起こり、血流障害や神経障害をもたらすのです。
これらの現象は、筋力や強い弱いではないのです。先ほどの2つの理由からなのです。今年コラムで取り上げた、膝の障害やコアの使い方、肩の力の抜き方等、すべてこの身体の使い方によって起きている問題や障害と言っても過言ではありません。
おそらく、これは幼児期(新生児)からの脳レベルでの神経伝達の優位性が引き金で徐々にそのような「身体の使い方」を覚えてしまうのだと思います。その結果、身体にゆがみを作ってしまう現象なのです。この歪みは自分ではどうすることもできなくなる為治療が必要になるのです。
脳の老化を防ぐには、いつもと違うことをすることが重要といいます。同じことの繰り返しでは脳細胞が活性化できず衰えてしますのです。使われていない細胞を活性化させる必要があるのです。

 今後、臨床の場では、その人の「使っているところ」と「使っていないところ」を正しく評価し、末梢で起こっている現象に対する原因治療とともにこの脳レベルでの神経伝達トレーニングの重要度を増してくるのではないでしょうか。

 来年は寅年です。4回目の年男になってしまいます。次の寅年のことを考えると(なんと60歳)残された時間は少なくなってきているので、日々臨床において「なぜ?」「どうしてか?」と疑問を持ちながら、一日一日を大切に過ごしていきたいと思います。
 来年もスタッフ一同、更なる治療の質の向上に重きを置いて研鑽する決意でおりますので、 何卒よろしくお願い申し上げます。
最後になりましたが、皆様が良い年をお迎えできますように!

Merry Christmas & A Happy New Year!

上部交差症候群チェック

先日、臨床ファイルでも取り上げた「上部交差症候群」ですが、その後も多くの患者さんが来院されています。前回のコラムにもある肩に力が入った状態も同様の筋肉バランスになっているのです。 これは、「マウス症候群」でも起こるのですが、特にキーボードを集中して打ち込んでいる時に見られる姿勢です。
集中して仕事をしていると知らず知らず、下写真のような姿勢になっているようです。皆さんも鏡に映っている姿を見たり、隣にいる方にチェックしてもらうといいと思います!

チェックポイント
①顎が上がってないか
②肩が上がってないか
③肩の付け根が前(前肩)に出てないか
④横から見た時の耳の位置が肩のラインより前に出ていないか

以上どれか一つでも当てはまり、以下のような症状があるようでしたら、その状態は「上部交差症候群」の可能性が高いので簡単しせい調整を行ってください。
症状:肩こり、首痛、背痛、頭痛、腕の痛みや痺れ、耳鳴り、めまい、吐き気、息苦しさ、動悸、ふらつき、肩が痛みで上がらない(四十肩、五十肩)

簡単しせい調整法:
悪い姿勢で顎が上がった状態から自分の人差し指を下写真のように顎に当て、あごを引かせ、後頭部が天井に向かって少し上げるようにイメージします。連動する筋肉が自然に働くと上部交差症候群の姿勢を改善できます。パソコン使用中に時々(1時間に1回目安)この調整法を行うといいでしょう。


また、この改善姿勢がとれなかったり、辛い方は、身体のどこかで連動する動きを妨げる関節の歪みや筋肉の硬縮が存在している可能性があります。症状のある方は早期の治療をおすすめいたします。

頭痛について① ー頭痛の分類ー
頭痛について② ーカイロプラクティック的アプローチ法ー

臨床ファイル:上部交差症候群による頭痛と肩こり


■休診・代診のお知らせ
12月7日(月)~12月14日(月)までオーストラリアにて放射線学(レントゲン)研修のため 木津は休診となります。
担当の患者さんにつきましては、大変ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。
期間中の治療は他の先生が代診させて頂きます。
治療内容等に関しましては、すべてカルテにて管理しておりますのでご安心ください。 何卒よろしくお願い申し上げます。

座禅と熟睡について

秋の夜長、眠りが気持ちのいい季節になりましたが、ストレスや考えることが多いとなかなかいい眠りにつけません。そこで前回の「寝る前に座禅をするとなぜ熟睡できるか?」についてですが、その前に眠りに重要と言われているホルモンについて少し触れておきます。
メラトニンは、脳の松果体から分泌されるホルモンですが、メラトニンの血液中濃度は昼に低く夜に高いサーカディアン・リズム(概日リズム)を示し、睡眠と関連していると言われています。
このメラトニンの合成には「セロトニン」という神伝達物質が必要です。
このセロトニン神経を鍛えるには、リズム性運動がいいとされています。それを簡単にできるのが「丹田呼吸法」(腹の下部を意識して呼吸する)なのです。この呼吸法を座禅で行うことによりメラトニンが分泌されやすくなり熟睡しやすくなるのです。
座禅をすると身体が空に伸びる感覚がして、肩の力が抜け、身体が軽くなったのを実感できるはずです。皆様も寝る前に座禅をしていい眠りに就いて英気を養ってください。

出典:「セロトニン呼吸法」、地湧社、2002有田秀穂・高橋玄朴著、「セロトニンについて」頭痛大学より

肩に力が入る・肩の力を抜く

誰でも経験があると思うのですが、緊張すると肩に力が入ります。様々な動き(スポーツ・バレエ・ダンス・楽器演奏など)でも力が入るとベストなパフォーマンスが発揮出来ないため、指導者は「肩の力を抜いて」と言うことがあります。皆様も学生時代に一度は耳にしたことがあると思います。これは自律神経の働きで、緊張した時に交感神経が優位に働き、胸で呼吸している時(胸式呼吸)に僧帽筋が緊張して起こる現象なのです。
 実は、この僧帽筋が緊張した方が患者さんに多く見受けられます。特に女性に多いのですが、図①のように肩が挙がって前に出ている状態なのです。これは、精神的にも緊張した状態でも起こるし、姿勢や椅子と机の関係でも起こります。それが重なると、頭痛や肩こり、腕の痛みやしびれにつながるのです。

図①は、肘が机の上に載り、そのため肩が上がっています。

図②は、肩が下がり、逆に体幹が上に挙がっています。

実は、肩に力が入ると、僧帽筋により肩が上に挙がり、体幹は下にさがるという現象が起きているのです。(重力をまともに受ける)しかし、逆に図②のように肩が下がった時には、体幹は抗重力筋が働き、体幹を持ち上げる力が働いているのです。
この抗重力筋を利用し、腹式呼吸をしながら体幹を浮かせ、肩を下げるとことができると僧帽筋の緊張がなくなり、肩こりや頭痛の究極の予防法に繋がるのです。もちろんスポーツやバレエ・ダンスをやられている方は、身体のコアが意識できるのです。

この訓練をできるのが座禅です。座禅をしていると、なぜ精神を統一させ緊張をとれるのかがわかる気がします。精神が乱れ肩で息をするとこの姿勢はとることができません。
図③のように肩の力を抜き、背筋を伸ばす。頭の頂点より少し後ろを吊り上げられるようにすると自然に顎が引かれた状態になります。呼吸は自然に鼻からゆっくり吐き、丹田(腹の下部を意識)から吐き出す、そして鼻でゆっくり吸うといいでしょう。

就寝前に座禅をしてリラックスして寝ると熟睡できます。なぜ熟睡できるかについては、次回お話いたします。

椅子と机の関係について

骨盤エクササイズについての警鐘