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椅子と机の関係

以前もコラム「座り方と椅子選び①~④」で取り上げましたが、パソコンを使用する時間がとても長くなっている現在の仕事環境では「座り方と椅子」は多くの不定愁訴を語る上でとても重要な問題です。しかし、これだという「良い椅子」はなかなか見当たりません。
そこで自分自身でも椅子の研究をしてきました。そして、できれば「身体にいい椅子」を製作できないかと今年の3月から大手事務機メーカーに協力してもらい、たくさんの椅子に座らせてもらったり、椅子の専門家と定期的にミーティングを重ね、こんな椅子がいいのではというサンプルモデルは出来上がりました。ただ、これを実際に商品として市場に出るには、まだまだハードルが高そうです。

 そんな椅子に関して話し合いをしている中で、ふっと思ったのが「椅子と机の関係」です。会社では小柄な方から大柄な方まで様々ですが、一般的に市販の机は2種類の高さしかないようです。
また社内的には並んでいる机が高かったり低かったりしては、デザイン的にもおかしいという固定概念がある為、机の高さを揃えているのが現状だと思われます。
最近この「椅子と机の関係」が原因で出ている症状も多くみかけますので注意してください。

①小柄な方が机が高いと思いながら使っているケース
②机に合わせて椅子を高くしているケース
③背の高い方が背中を丸めて机の高さに合わせているケース

 上記の場合の基本策とあいて机の高さに椅子を合わせてほしいのですが、②の場合は足が地面に着かないケースが発生します。この改善策として足台を置くようにするのがいいと思います。 ③のケースでは背をかがめようとする為、身体をよじる「ボディースリップ」が生じがちです。気をつけましょう!

パソコンも1-2時間なら身体への影響は少ないのですが・・・皆さん一日10時間以上してませんか?とにかく時々休憩して身体動かしましょう!

*ボディースリップの詳細について

運動による悪影響

先日患者さんから受けた質問は「高機能ウェアーって姿勢に良いですか?」。スポーツ用タンクトップなのですが背中側の生地がサポートが強い為に背筋が自然に伸びて、前肩が改善するという効果を期待した商品のようでした。
ただ、この患者さんもこのウェアーを付けてヨガをしたら確かに姿勢は良くなった気がしたが腰が痛くなった為に疑問に思ったとのことでした。

 身体は足から股関節・骨盤・背骨(腰椎・胸椎・頚椎)からなり、そして5キロから8キロはあるだろうとされる頭部を支えています。全体的なバランスが必要で、一つのポイントだけを不自然によくしようとするのは逆効果になることが多いのです。
 「良い姿勢」を身に付けるには個々に合わせた、軸のコントロールやトレーニングが必要です。「良い姿勢」は、個人差があります。形にはめた「良い姿勢」は逆効果になり、痛みを引き起こす可能性があると言うことを頭に入れておく必要があります。
この影響は最近の様々な姿勢関連グッズに当てはまります。流行の乗馬マシーンや履いているだけで足の筋肉がつく靴とかアンダーウェアー等、骨格のバランスが悪く筋肉も弱い方が無理にいい姿勢にさせようとするのは注意が必要です。

 また、最近特に気になるのが「足」です。足のアーチを形成する筋肉の弱化が目立ちます。チェックしてみると1時間以上散歩している人やスポーツクラブで鍛えている人も正常に足が機能していないのです。言い換えれば正しく歩けていない人がほとんどなのです。
 ただ歩くだけ、走るだけでは正しく使えていない筋肉や関節が存在するというのが最近症状を見ていて思うことです。この影響が膝や腰まで及んでいるケースが年々増え続けています。デスクワークが多く毎日通勤で30分以内しか歩行できていない方は特に注意が必要です。
足については、次回またテーマにしたいと思います。

よい姿勢と悪い姿勢について

座り方と椅子選びーその4

「座り方と椅子選び」について4回に渡り書いてきました。有給休暇の取得率が過去最低を記録するなど、今後も更に座る時間が増える事でしょう。今回のテーマは、そうした現状において「座る時間の増加=不定愁訴の増加」という傾向に警鐘を鳴らす大きなものかもしれないと感じてきました。
4回目は「座り方リセット法」です。簡単にできるので是非実施して頂ければと思います。

■座り方リセット法 ~3分リセットで腰痛、肩こり予防を~

1.立つ
1時間に一度立つ

2.脚を広げ、お尻を閉める
脚を肩幅広げ、お尻を「きゅっ」と閉める

3.3点腰回し
腰の背骨の横(図の赤い印左右6点)を上から順番に1カ所づつ両手の親指で強めに押さえる。
横に体を傾けつつ、そのまま右回り、左回りとにリズミカルに腰を回す。

以上3分で終わります。
座るより立ったほうが椎間板の負担は30%楽なのです。

*このプログラムは一般的なリセット法です。痛みや違和感がある方はすぐに体操を中止してください。
またKIZUカイロ来院中の患者さんは、それぞれに合わせた対応が可能です。担当の先生にお尋ね下さい。

■総括:
4回に渡った今回のコラムを総括すると、
・椅子選びも大事
・それ以上に座り方が重要
・長時間同じ姿勢を続け無い様に時々リセットする
以上の3点を守るだけで多くの不定愁訴の予防になります。
また、これには個人レベルでの意識・実行と同時に、適正な椅子の選択や体操の導入など会社レベルでの一歩踏み込んだ環境対策が望まれます。
また、我々が行っている「日本人をかっこよくするプロジェクト」のテーマの一つとして、「椅子選びと座り方」の認識を高めるためにこれからも多くの方に訴えていこうと考えています。

座り方と椅子選びーその1
座り方と椅子選びーその2
座り方と椅子選びーその3

座り方と椅子選びーその3

■予防する座り方 ~座り方で腰痛、肩こり予防を~

座る時間の増加=不定愁訴の増加
長年治療にあたってきた中で、この問題が年々増えている事を実感しています。この問題はこれからも増加の一途を辿り、今後大きな社会問題の一つとしてクローズアップされることも考えられます。対策としてはよい座り方の基本を覚え、実行していくことです。そうすれば、この問題は「予防」できるのです。痛みが無いからと言って「自分にとって楽な姿勢」をとっていると重い症状に悩まされることとなります。大事なのはその人にとって楽なのではなく、身体にとって楽な姿勢を選択しなくてはなりません。

■よい座り方の基本

左図:身体の軸が頭の頂点から耳を通り、背骨から坐骨まで一直線であると腰の負担は最小限に抑えられる。ところが、これを維持する為に背骨周囲の筋肉が緊張しているので、この座り方も長時間に及ぶと筋や関節に負担が生じる。
右図:それを軽減させる為に座面と背中面がL字型で身体を支えられると重力が分散され、腰の負担は軽減される。

*また、この基本姿勢も長時間座っていれば人によっては負担が増す部位が出現する場合があります。そこで以下のようにタオルを使用したポスチャーチェンジ法を実施するとよいでしょう。

■座り方を時々変える。(ポスチャーチェンジ)

タオルを使用し簡単に負担部位を変えていくことにより、長時間の座位に対応できる。
1.上部:腰と背中の間辺りにタオルを当てる

2.中部:腰のくぼんだ辺りにタオルを当てる

3.下部:腰の下部とお尻を包めように当てる


■注意■
腰に良い言われる椅子

短時間の使用であればよい姿勢を作り腰への負担も減らします。ところが、長時間の使用では腰椎が反り腰になり、椎間関節(腰の後下部)に負担がかかってしまいます。無理によい姿勢にしようとすると、その人元来の姿勢とのギャップで負担を増強させてしまう可能性があります。

■結論:
皆さんも経験あると思いますが、会社の椅子、飛行機や劇場の椅子に長時間座っていると姿勢を変えたくなります。初めから悪い姿勢だとその頻度は増え、逆によい姿勢からスタートするとその頻度は少なくてすみます。
また、どんな良い座り方でも長時間同じ姿勢でいると腰のどこかに負担が生じます。だからこそ上記(ポスチャーチェンジ)のように時々腰の負担を変えながら座ると良いのです。
繰り返しになりますが人間は「動物」です。動くように作られています。ですので完璧な座り方はないと思ってください。時々座り方を変えて、軸をリセットすると身体のゆがみが最小限に抑えられて様々な症状の予防になるのです。

*次回コラムでは「その4」としてリセット法を解説します。

座り方と椅子選びーその1
座り方と椅子選びーその2
座り方と椅子選びーその4

座り方と椅子選びーその2

■椅子の選び方
前回コラムの続きです。更新が大変遅くなり申し訳ありませんでした。
早速、まずは椅子の選び方についてですが、多くの方が座りやすく、身体にもよく、疲れにくい、自分の体型にあった椅子を選びたいと考えていると思います。
但し、自宅用はこのような願いも叶えられますが、残念ながら会社の椅子はそうもいきませんね・・・

1.クッションの硬さ→柔らかいものは避ける
2.座面の高さ→調節可能なものが多いので問題ないと思います
3.座面の奥域→小柄な女性は特に気をつける
4.肘掛のあるものを選ぶ→肘掛が邪魔になるケースもあるので注意する
5.デスクとの関係→椅子の肘掛の高さも考慮する
6.デザイン重視には気をつける
●結論として、上記を満たせていれば価格はリーズナブルなもので十分である。実際に30分ほど座ってから決めるとよい。また高価な椅子=身体にいいとは限らないので注意!

■座り方について:
人間は座るように作られた構造ではありません。重要なのは座り方です。
よく見かける悪い座り方

1.背中座り: 椅子に浅く座り、背中で座っているような状態。一見、腰が楽なように感じますが、腰椎の後彎を形成し、椎間板に多大な負担をかけています。

2.チョコン座り: 小柄な女性に多い座り方です。一見、姿勢がいい様に見えますが腰が反り返り腰椎下部に負担をかけた座り方です。

3.頬杖座り: マウス操作しながら画面に集中した時に多い座り方です。背中が丸まり、肩が前方に移動し首・肩・肘・鎖骨・背中等の問題も引き起こします。

4.ボディースリップ座り: 長時間座っているとこの座り方になってしまう可能性が高いようです。骨盤がすべり、それにともない身体(背骨)もスリップする為、椎間板にも影響を及ぼす可能性があります。同時に骨盤も開いてしまい股関節の問題を訴える人も増えています。

1.背中座り

2.チョコン座り

3.頬杖座り

4.ボディースリップ座り

*ボディースリップの詳細について

●結論:人間は「動物」です。人間の身体は動くように作られています。ですので完璧な座り方はないと思ってください。時々座り方を変えて、軸リセットすると身体のゆがみが最小限に抑えられて様々な症状の予防になり、骨盤の開きも抑えられます。

*次回コラムでは「その3」としてよい座り方とリセット法を解説します。(次回は2週以内に必ずUPします!)

座り方と椅子選びーその1
座り方と椅子選びーその3
座り方と椅子選びーその4