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「膝について」考察①

2009年も早1ヶ月が過ぎようとしています。今年は特定部位について掘り下げて、コラムで綴っていこうと考えています。
まず第一弾として「膝」を考察してみます。この膝の障害は、年齢と共に増加傾向であるし、治りが悪い厄介な障害です。以前はシニア層(60代以降)に多く発症するという認識だったのですが、なんと最近では、子供(小学生)にも見受けられるようになっています。
 膝の痛みと言うと「グルコサミン」の通信販売をTV等で良く見かけます。膝痛の方で服用されている人も多いのではないでしょうか?もちろんそのような栄養素も必要だとは思いますが、私の見解では、それよりも機能的な働き(正常な膝の動き)改善することが一番先と考えます。
 そこで膝の関節を語る上で重要な歩行周期というものを考えてみました。
以下に歩行の原則を記してみます。

歩行の原則
歩行時の下肢の運動学を検討するにあたり、いくつかの簡単な原則を確認しておく。
第一に大腿および脚の運動は股、膝の同調運動によっておこる。
第二に距骨の外向き、内向きの運動は下肢の外旋、内旋と同時に起こる。
第三に距骨が内旋すると、踵骨は距骨下関節で外反し、距骨が外旋すると踵骨は内反する。
第四に踵骨が内反すると足は内転し、踵骨が外反すると足は外転する。


 この原則を簡単に言うと、膝の動きは足関節から膝関節そして股関節にかけて連動した動きであり、着地する時と地面を離れる時に違った動きをするということです。(付け加えると骨盤から腰にかけた連動する働きも)
また、膝には固有の解剖的特徴があります。それは膝関節は骨でうまく支持されておらず、軟部組織構造によって安定が維持され運動が可能になっていることです。
すなわち膝は支持と柔軟性を可能にしたすばらしい関節なのです。
そこで注目すべきは歩行周期の中で下図にある踵着地し足指離地から加速期(RLA用語ー遊脚初期)への移行なのです。



次回はなぜこの歩行周期が膝の障害に影響を与えているかのか?
なぜ年齢とともに膝の痛みが増えるのかに迫ってみたいと思います。
(引用文献:神経筋骨格筋障害の臨床評価 Gary M.Greenstein,D.C.著 竹谷内宏明 M.D.,D.C 監訳 足と足関節の痛み Rene Cailliet,M.D 著)

椅子と机の関係

以前もコラム「座り方と椅子選び①~④」で取り上げましたが、パソコンを使用する時間がとても長くなっている現在の仕事環境では「座り方と椅子」は多くの不定愁訴を語る上でとても重要な問題です。しかし、これだという「良い椅子」はなかなか見当たりません。
そこで自分自身でも椅子の研究をしてきました。そして、できれば「身体にいい椅子」を製作できないかと今年の3月から大手事務機メーカーに協力してもらい、たくさんの椅子に座らせてもらったり、椅子の専門家と定期的にミーティングを重ね、こんな椅子がいいのではというサンプルモデルは出来上がりました。ただ、これを実際に商品として市場に出るには、まだまだハードルが高そうです。

 そんな椅子に関して話し合いをしている中で、ふっと思ったのが「椅子と机の関係」です。会社では小柄な方から大柄な方まで様々ですが、一般的に市販の机は2種類の高さしかないようです。
また社内的には並んでいる机が高かったり低かったりしては、デザイン的にもおかしいという固定概念がある為、机の高さを揃えているのが現状だと思われます。
最近この「椅子と机の関係」が原因で出ている症状も多くみかけますので注意してください。

①小柄な方が机が高いと思いながら使っているケース
②机に合わせて椅子を高くしているケース
③背の高い方が背中を丸めて机の高さに合わせているケース

 上記の場合の基本策とあいて机の高さに椅子を合わせてほしいのですが、②の場合は足が地面に着かないケースが発生します。この改善策として足台を置くようにするのがいいと思います。 ③のケースでは背をかがめようとする為、身体をよじる「ボディースリップ」が生じがちです。気をつけましょう!

パソコンも1-2時間なら身体への影響は少ないのですが・・・皆さん一日10時間以上してませんか?とにかく時々休憩して身体動かしましょう!

*ボディースリップの詳細について

ローライズで腰痛に・・・

2006年に書いたコラム「ローライズ症候群」について追加報告をします。

 女性に多く見られがちだと思われていた、ローライズジーンズが原因と思われる腰痛や骨盤、股関節のトラブルが男性にも広がっているようです。

ローライズ症候群とは・・・?
 まずは、ローライズが原因と思われる症状として、腰痛、坐骨神経痛、椎間板の障害、膝の痛み、冷え症、生理痛、むくみなどが挙げられます。
 ローライズパンツは股上すぐのところで固定されるので、足(特に股関節)の動きが制限され挙上しにくくなり(転ぶ人も多い)、その影響で腰の反りが強くなってしまいます。結果的に腰椎に動きがなくなる為、様々な症状を生んでいるのです。
 股関節のゆがみから始まり、下肢への血行を悪くし、構造的には身体の上位では腰椎や胸椎、頚椎に、下位では骨盤、股関節、膝関節にまで悪影響を及ぼします。もちろんお腹や背中を出すことが多くのなるので女性に大敵の「冷え」もでますし、ローライズのまま座り続けることで窮屈になった骨盤や股関節は歪みを引き起こします。またローライズに高い靴(冬場はブーツ)を履くケースは、余計に腰を反らせ、足を挙上させにくくさせているようです。
 また、最近では男性にもローライズジーンズが増え、タイトなパンツも増えています。これらも同様に腰痛や股関節にトラブルを招く原因になっているようです。

 以前にも書いたように、入浴で体を暖めてから足踏み体操をする事は簡単な対処方法になりますが、最近では入浴や足踏み体操だけでは対処しきれない症状の方も増えています。ローライズ症候群かな?と感じる方は、股関節の違和感、冷え、腰痛などが慢性化する前に早めに専門家にチェックしてもらう事をお勧めします。

運動による悪影響

先日患者さんから受けた質問は「高機能ウェアーって姿勢に良いですか?」。スポーツ用タンクトップなのですが背中側の生地がサポートが強い為に背筋が自然に伸びて、前肩が改善するという効果を期待した商品のようでした。
ただ、この患者さんもこのウェアーを付けてヨガをしたら確かに姿勢は良くなった気がしたが腰が痛くなった為に疑問に思ったとのことでした。

 身体は足から股関節・骨盤・背骨(腰椎・胸椎・頚椎)からなり、そして5キロから8キロはあるだろうとされる頭部を支えています。全体的なバランスが必要で、一つのポイントだけを不自然によくしようとするのは逆効果になることが多いのです。
 「良い姿勢」を身に付けるには個々に合わせた、軸のコントロールやトレーニングが必要です。「良い姿勢」は、個人差があります。形にはめた「良い姿勢」は逆効果になり、痛みを引き起こす可能性があると言うことを頭に入れておく必要があります。
この影響は最近の様々な姿勢関連グッズに当てはまります。流行の乗馬マシーンや履いているだけで足の筋肉がつく靴とかアンダーウェアー等、骨格のバランスが悪く筋肉も弱い方が無理にいい姿勢にさせようとするのは注意が必要です。

 また、最近特に気になるのが「足」です。足のアーチを形成する筋肉の弱化が目立ちます。チェックしてみると1時間以上散歩している人やスポーツクラブで鍛えている人も正常に足が機能していないのです。言い換えれば正しく歩けていない人がほとんどなのです。
 ただ歩くだけ、走るだけでは正しく使えていない筋肉や関節が存在するというのが最近症状を見ていて思うことです。この影響が膝や腰まで及んでいるケースが年々増え続けています。デスクワークが多く毎日通勤で30分以内しか歩行できていない方は特に注意が必要です。
足については、次回またテーマにしたいと思います。

よい姿勢と悪い姿勢について

座り方と椅子選びーその4

「座り方と椅子選び」について4回に渡り書いてきました。有給休暇の取得率が過去最低を記録するなど、今後も更に座る時間が増える事でしょう。今回のテーマは、そうした現状において「座る時間の増加=不定愁訴の増加」という傾向に警鐘を鳴らす大きなものかもしれないと感じてきました。
4回目は「座り方リセット法」です。簡単にできるので是非実施して頂ければと思います。

■座り方リセット法 ~3分リセットで腰痛、肩こり予防を~

1.立つ
1時間に一度立つ

2.脚を広げ、お尻を閉める
脚を肩幅広げ、お尻を「きゅっ」と閉める

3.3点腰回し
腰の背骨の横(図の赤い印左右6点)を上から順番に1カ所づつ両手の親指で強めに押さえる。
横に体を傾けつつ、そのまま右回り、左回りとにリズミカルに腰を回す。

以上3分で終わります。
座るより立ったほうが椎間板の負担は30%楽なのです。

*このプログラムは一般的なリセット法です。痛みや違和感がある方はすぐに体操を中止してください。
またKIZUカイロ来院中の患者さんは、それぞれに合わせた対応が可能です。担当の先生にお尋ね下さい。

■総括:
4回に渡った今回のコラムを総括すると、
・椅子選びも大事
・それ以上に座り方が重要
・長時間同じ姿勢を続け無い様に時々リセットする
以上の3点を守るだけで多くの不定愁訴の予防になります。
また、これには個人レベルでの意識・実行と同時に、適正な椅子の選択や体操の導入など会社レベルでの一歩踏み込んだ環境対策が望まれます。
また、我々が行っている「日本人をかっこよくするプロジェクト」のテーマの一つとして、「椅子選びと座り方」の認識を高めるためにこれからも多くの方に訴えていこうと考えています。

座り方と椅子選びーその1
座り方と椅子選びーその2
座り方と椅子選びーその3