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頭痛について① ー頭痛の分類ー

頭痛で思い出すのは、小学校の頃のことです。常習的に頭痛になり痛くなると、頭痛薬を飲むことを繰り返していました。その頭痛とは大学生迄付き合うことになりました。
ただ、薬を飲めば治るので真剣に病院に行くという発想はまったくなかったような気がします。その後カイロプラクティックを勉強するようになり、自分の姿勢の悪さに気づくようになったのです。
今まで、右下ばかりで寝ていたり、右足に体重かけて立っていたり(昔の立位の写真がほとんど右足に重心かけていたのです)と何とバランスが悪かったのだろうと思います。しかし、姿勢の問題が身体にどう影響するのかが徐々にわかりだし、姿勢を意識するようになるとそのような悪い姿勢をとらなくなっていました。すると何年かのうちにあの苦しい頭痛とはおさらばし、頭痛薬からも開放されていたのです。今になって思えば、あの頭痛は下記分類にある「頚性頭痛」だったと思われます。
 現在多くの患者さんと接し、頭痛で苦しむ方が多いこと、そして最近は、パソコンを使うことにより症状は年々悪化傾向にあると感じています。そんな中、今回は、この現代病の代表「頭痛」についてまとめてみようと思います。  日本全国調査では片頭痛の年間有病率は 8.4 %と報告されています。また、世界各国における有病率は様々で,米国 13.0 %やドイツ 27.5 %、本邦を含むアジアでは 5 ~ 10 %,欧米では 10 ~ 15 %と考えられている.これはいずれの数字を取ってもきわめて高い有病率である。
年代別片頭痛有病率をみると,若年~中年の女性に多く 30 才代, 40 才代女性の片頭痛の有病率は各々 17.6 %, 18.4 %も及んでいる。 日本の片頭痛患者は,頭痛のために日常生活に支障があるにもかかわらず,医療機関に受診するものが少ないことが示されている 。
また日本では緊張型頭痛の罹患率は,様々な調査で一般集団における生涯有病率は 30 ~ 78 %の範囲とされており,機能性頭痛のなかで最も多いと考えられている.頭痛は以下のように分類されています。

■頭痛の分類
1.一次性頭痛(=機能性頭痛)(基礎疾患のないもの)
o片頭痛、群発頭痛
o緊張型頭痛 、頚椎原生頭痛

2.二次性頭痛(=症候性頭痛)(原因疾患のあるもの)
o脳外科的適応のあるもの
  (例:くも膜下出血=炎症性頭痛、脳腫瘍=牽引性頭痛)
o内科的なもの
  (例:髄膜炎=炎症性頭痛、感冒=二次性血管性頭痛)
o耳鼻眼歯科疾患によるもの=関連性頭痛

出典:頭痛大学(http://homepage2.nifty.com/uoh/

■緊張性頭痛
頭痛のなかで緊張型頭痛の罹患率は、様々な調査で一般集団における生涯有病率は 30 ~ 78 %の範囲とされており、機能性頭痛のなかで最も多いと考えられている。
これはまたすべての疾患のなかで最も多いもののひとつである。症状は、軽度から中等度の、頭をベルトで締めつけられるような痛みが、頭全体に生じるか後頭部に感じることが多い。痛みは30分から7日間ほど続く。
運動、光、音によって悪化することはなく、吐き気や嘔吐も伴わない。肩や首を温めると緩和することが多い。

■片頭痛
日本全国調査では片頭痛の年間有病率は 8.4 %(前兆のある片頭痛 2.6% ,前兆のない片頭痛 5.8% )と報告されている。
世界各国における有病率は様々で、フランス 12.1 %,米国 13.0 %,ドイツ 27.5 %,タイ 29.1 %などの報告がある。
調査方法や診断精度、さらには生活様式や地域性による違いもあるものと考えられるが、本邦を含むアジアでは 5 ~ 10 %,欧米では 10 ~ 15 %と考えられている。これはいずれの数字を取ってもきわめて高い有病率であって、対策が必要な疾患であることを示しているといえる。年代別片頭痛有病率をみると、若年~中年の女性に多く 30 才代, 40 才代女性の片頭痛の有病率は各々 17.6 %, 18.4 %も及んでいる。本邦の片頭痛患者は、頭痛のために日常生活に支障があるにもかかわらず,医療機関に受診するものが少ないことが示されている。
中等度から重度のズキズキする痛みが、ほとんどの場合頭の片側だけに生じる。痛みは4時間から3日間ほど続き、運動、光、音、またはにおいによって悪化し、吐き気と嘔吐を伴う。
拍動性の痛みで入浴などで温めると悪化する。男性より女性に多く発生。片頭痛は遺伝性があるとの研究報告もある。

■頚椎原性頭痛(頚性頭痛)
他の頭痛のような有病率の調査結果はないが、片頭痛や緊張性頭痛等との関連性が重要視されている。痛みは首の後頭下部から前頭部、眼窩領域、こめかみ、頭頂部、耳にも広がる可能性あり。首の特定の動きや姿勢の固定で悪化する。
片頭痛に似て吐き気・嘔吐・クラクラ感や光や音に敏感になることもあります。レントゲン上では、頚椎カーブの減少(ストレートネック)が多く見られるという調査結果も出ています。

■群発頭痛
群発頭痛の有病率は 10 万人あたり 56-401 人程度と報告されており、 片頭痛に比べその患者数は少ないとされている。群発頭痛の発症年齢は通常 20-40 歳代である。男性における有病率は女性の 3-7 倍である。
突き刺すような重度の痛みが特に眼球の周囲に生じ、15分から3時間ほど持続する。群発頭痛が起きた人は、激痛のために横になることもできず、歩き回ったり、ときには自分の頭をたたいたりする。光、音によって悪化することはなく、吐き気や嘔吐も伴わない痛みがある側は、鼻水が出たり、涙が出たり、まぶたが垂れ下がったり、眼の下が腫れたりする。

■重篤な症状
脳腫瘍やくも膜下出血、血管腫等で頭痛はある。くも膜下出血では激しい頭痛に嘔吐・意識喪失・めまいも現れます。これらの症状が疑われる場合はすみやかに専門医に診てもらう必要があります。

■危険な頭痛の症状
○「これまでで最悪の頭痛か(最悪)」
○「増悪しているか(増悪)」
○「突然発症か(突発)」
→「一般外来での頭痛の鑑別には『増悪』が最も有用
→ 三つ質問にいずれも該当しない患者に危険な頭痛はまれ
→ すべてに該当していても、危険な頭痛が少ない
*出典:馬杉綾子氏(千葉大総合診療部)、第11回日本総合診療医学会の発表(Nikkei Medical 2003.4:39)


*次回は、続編「頭痛について②」-頭痛へのカイロプラクティックアプローチについて取り上げます。来週2月23日にはUPする予定です。

参考文献:
○日本頭痛学会(慢性頭痛診療ガイドライン):主任研究者 坂井文彦氏(http://www.jhsnet.org/) 
○頭痛大学サイト:(http://homepage2.nifty.com/uoh/
○Murdoch University Chiropractic and Sports Science (head/Cervical Spine Care) :Julian V.Vickers D.C.(SCUHS),Mark Hecimovich D.C.

「ストレートネックとは?」
マウス症候群
パソコンを使うと身体が不調になるのは何故か?(VDT症候群)
「上部交差症候群」について
頭痛について② ーカイロプラクティック的アプローチ法ー


臨床ファイル
・頭痛と吐き気を伴った肩こり(ストレートネック)
・首こり、肩こり、背中の痛みと頭痛
・筋緊張性頭痛(筋緊張型頭痛)~こめかみの痛み、目の奥の痛み、吐き気~
・マウス症候群~頭痛を伴う首から腕にかけての痛み
・マウス症候群 ~PC操作と筋緊張型頭痛
・VDT症候群~眼精疲労と頭痛
・上部交差症候群による頭痛と肩こり

身体の使い方について

今年もあとわずかを残すだけになりました。今年最後のコラムは、様々な症状を掘り下げてきた自分なりの総括を述べてみたいと思います。
結論から言うと、身体から発生される「痛み」に代表されるサインは、「使っているところ」と「使われていないところ」のバランスの崩れから来ると言えるのではないでしょうか。このバランスとは左右や前後、または上下や内外、それらを混合したものなどです。結局のところ「身体の使い方」が重要ということなのです。

 例えば、ショルダーバッグを肩にかける時、誰でも少なからず「かけやすい方」と「かけにくい方」が存在すると思います。かけやすい方ばかり使うと良くないと皆が思っているはずです。ところが、かけにくい方の肩にしばらくかけるとなぜか肩からスルーと落ちたり、しっくりこないのです。
また、ゴルフのスイングも左右回転ともにきちんとふれる人はなかなかいません。立って身体を左右に回転させてみてください。回転しやすい方と回転しにくい方があると思います。
単純に考えれば、この回転しにく方向に回せば、くせが戻る気がします。ショルダーバックも反対で持てばいい気がします。しかし、この時の「身体の使い方」そのものが違っているのです。
それは、「使っているところ」と「使われていないところ」というものをその人が自覚していないし、動かそうと思っても身体が上手く使えないのです。その理由には2点あります。一つは、関節の動揺性や筋肉の拘縮があるために使えなくしている。もう一つは、その身体の使い方そのものをしたことが無い為、神経伝達が上手くできない。
 試しに肩幅ぐらい足を開いて、目をつぶって軽くを脇を閉めてゆっくり身体を左右に回転させ、その時の肩甲骨と背骨の間の動きに集中してみてください。まったく違った使い方をしていることが初めの動き出しでわかるはずです。

無意識下で行われる行動は、いつもと同じ動き方や使い方をしています。でもそれで日常の動きはすべてできるし、運動もなんなくこなすことができます。通常は何も問題もないのです。しかし、この一方向の動き方をしていると使い過ぎによる疲労や組織の炎症、筋の拘縮、関節の動揺性等が起こり、血流障害や神経障害をもたらすのです。
これらの現象は、筋力や強い弱いではないのです。先ほどの2つの理由からなのです。今年コラムで取り上げた、膝の障害やコアの使い方、肩の力の抜き方等、すべてこの身体の使い方によって起きている問題や障害と言っても過言ではありません。
おそらく、これは幼児期(新生児)からの脳レベルでの神経伝達の優位性が引き金で徐々にそのような「身体の使い方」を覚えてしまうのだと思います。その結果、身体にゆがみを作ってしまう現象なのです。この歪みは自分ではどうすることもできなくなる為治療が必要になるのです。
脳の老化を防ぐには、いつもと違うことをすることが重要といいます。同じことの繰り返しでは脳細胞が活性化できず衰えてしますのです。使われていない細胞を活性化させる必要があるのです。

 今後、臨床の場では、その人の「使っているところ」と「使っていないところ」を正しく評価し、末梢で起こっている現象に対する原因治療とともにこの脳レベルでの神経伝達トレーニングの重要度を増してくるのではないでしょうか。

 来年は寅年です。4回目の年男になってしまいます。次の寅年のことを考えると(なんと60歳)残された時間は少なくなってきているので、日々臨床において「なぜ?」「どうしてか?」と疑問を持ちながら、一日一日を大切に過ごしていきたいと思います。
 来年もスタッフ一同、更なる治療の質の向上に重きを置いて研鑽する決意でおりますので、 何卒よろしくお願い申し上げます。
最後になりましたが、皆様が良い年をお迎えできますように!

Merry Christmas & A Happy New Year!

上部交差症候群チェック

先日、臨床ファイルでも取り上げた「上部交差症候群」ですが、その後も多くの患者さんが来院されています。前回のコラムにもある肩に力が入った状態も同様の筋肉バランスになっているのです。 これは、「マウス症候群」でも起こるのですが、特にキーボードを集中して打ち込んでいる時に見られる姿勢です。
集中して仕事をしていると知らず知らず、下写真のような姿勢になっているようです。皆さんも鏡に映っている姿を見たり、隣にいる方にチェックしてもらうといいと思います!

チェックポイント
①顎が上がってないか
②肩が上がってないか
③肩の付け根が前(前肩)に出てないか
④横から見た時の耳の位置が肩のラインより前に出ていないか

以上どれか一つでも当てはまり、以下のような症状があるようでしたら、その状態は「上部交差症候群」の可能性が高いので簡単しせい調整を行ってください。
症状:肩こり、首痛、背痛、頭痛、腕の痛みや痺れ、耳鳴り、めまい、吐き気、息苦しさ、動悸、ふらつき、肩が痛みで上がらない(四十肩、五十肩)

簡単しせい調整法:
悪い姿勢で顎が上がった状態から自分の人差し指を下写真のように顎に当て、あごを引かせ、後頭部が天井に向かって少し上げるようにイメージします。連動する筋肉が自然に働くと上部交差症候群の姿勢を改善できます。パソコン使用中に時々(1時間に1回目安)この調整法を行うといいでしょう。


また、この改善姿勢がとれなかったり、辛い方は、身体のどこかで連動する動きを妨げる関節の歪みや筋肉の硬縮が存在している可能性があります。症状のある方は早期の治療をおすすめいたします。

頭痛について① ー頭痛の分類ー
頭痛について② ーカイロプラクティック的アプローチ法ー

臨床ファイル:上部交差症候群による頭痛と肩こり


■休診・代診のお知らせ
12月7日(月)~12月14日(月)までオーストラリアにて放射線学(レントゲン)研修のため 木津は休診となります。
担当の患者さんにつきましては、大変ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。
期間中の治療は他の先生が代診させて頂きます。
治療内容等に関しましては、すべてカルテにて管理しておりますのでご安心ください。 何卒よろしくお願い申し上げます。

座禅と熟睡について

秋の夜長、眠りが気持ちのいい季節になりましたが、ストレスや考えることが多いとなかなかいい眠りにつけません。そこで前回の「寝る前に座禅をするとなぜ熟睡できるか?」についてですが、その前に眠りに重要と言われているホルモンについて少し触れておきます。
メラトニンは、脳の松果体から分泌されるホルモンですが、メラトニンの血液中濃度は昼に低く夜に高いサーカディアン・リズム(概日リズム)を示し、睡眠と関連していると言われています。
このメラトニンの合成には「セロトニン」という神伝達物質が必要です。
このセロトニン神経を鍛えるには、リズム性運動がいいとされています。それを簡単にできるのが「丹田呼吸法」(腹の下部を意識して呼吸する)なのです。この呼吸法を座禅で行うことによりメラトニンが分泌されやすくなり熟睡しやすくなるのです。
座禅をすると身体が空に伸びる感覚がして、肩の力が抜け、身体が軽くなったのを実感できるはずです。皆様も寝る前に座禅をしていい眠りに就いて英気を養ってください。

出典:「セロトニン呼吸法」、地湧社、2002有田秀穂・高橋玄朴著、「セロトニンについて」頭痛大学より

肩に力が入る・肩の力を抜く

誰でも経験があると思うのですが、緊張すると肩に力が入ります。様々な動き(スポーツ・バレエ・ダンス・楽器演奏など)でも力が入るとベストなパフォーマンスが発揮出来ないため、指導者は「肩の力を抜いて」と言うことがあります。皆様も学生時代に一度は耳にしたことがあると思います。これは自律神経の働きで、緊張した時に交感神経が優位に働き、胸で呼吸している時(胸式呼吸)に僧帽筋が緊張して起こる現象なのです。
 実は、この僧帽筋が緊張した方が患者さんに多く見受けられます。特に女性に多いのですが、図①のように肩が挙がって前に出ている状態なのです。これは、精神的にも緊張した状態でも起こるし、姿勢や椅子と机の関係でも起こります。それが重なると、頭痛や肩こり、腕の痛みやしびれにつながるのです。

図①は、肘が机の上に載り、そのため肩が上がっています。

図②は、肩が下がり、逆に体幹が上に挙がっています。

実は、肩に力が入ると、僧帽筋により肩が上に挙がり、体幹は下にさがるという現象が起きているのです。(重力をまともに受ける)しかし、逆に図②のように肩が下がった時には、体幹は抗重力筋が働き、体幹を持ち上げる力が働いているのです。
この抗重力筋を利用し、腹式呼吸をしながら体幹を浮かせ、肩を下げるとことができると僧帽筋の緊張がなくなり、肩こりや頭痛の究極の予防法に繋がるのです。もちろんスポーツやバレエ・ダンスをやられている方は、身体のコアが意識できるのです。

この訓練をできるのが座禅です。座禅をしていると、なぜ精神を統一させ緊張をとれるのかがわかる気がします。精神が乱れ肩で息をするとこの姿勢はとることができません。
図③のように肩の力を抜き、背筋を伸ばす。頭の頂点より少し後ろを吊り上げられるようにすると自然に顎が引かれた状態になります。呼吸は自然に鼻からゆっくり吐き、丹田(腹の下部を意識)から吐き出す、そして鼻でゆっくり吸うといいでしょう。

就寝前に座禅をしてリラックスして寝ると熟睡できます。なぜ熟睡できるかについては、次回お話いたします。

椅子と机の関係について

骨盤エクササイズについての警鐘